2011年11月28日 (月)

セカンドオピニオン

 

つい最近、「すでに他の弁護士に相談し、相手方との交渉を進めているのだけれども・・・」ということで、事務所に相談に来られた方がいらっしゃいました。

 

いわゆる、セカンドオピニオンを訊きに来られたわけです。

 

「セカンドオピニオン」とは、よりよい決断をするために、当事者以外の専門的な知識を持った第三者に求めた「意見」、または「意見を求める行為」の事。

 

一般的には、医者に対する関係で、今後の治療方法等の決定のために使われることが多いのではないかと思いますが、上記定義からも明らかなように、弁護士に対する関係でも当てはまるものです。

今回の場合だけでなく、私も、今までに数回、セカンドオピニオンを訊きに来られた依頼者の方の相談にあたらせていただいたことがあります。

 

しかし、医療の現場では、今ではすっかり定着しているようですが(もっとも、一昔前までは、そうではなかったようで、インターネットの普及とともに徐々に定着していったようです。)、弁護士に対する関係では、まだまだ数は少ないのではないかと感じています。

 

医者に対する関係でのセカンドオピニオンを求める場合、主治医に、紹介状(病状に関する説明書)を作成してもらい、また診療に関する資料(レントゲンフィルム、検査データなど)を預かり、それを持って別の医者の診察を受け、セカンドオピニオンを訊く、というのが一般的なようですが、弁護士の場合、そのような形というのは、ほとんどとられておらず、依頼者の方が、自主的に、手元にある資料を持って別の弁護士に相談に行くのであって、最初に相談した弁護士には内緒にしているのが大半なのではないでしょうか。

 

 

最初に相談した弁護士の方針や対応について、依頼者の心の中に、ごく僅かにでも腑に落ちない点がある場合、他の弁護士の意見も聞いて、心の中のもやっとしたものが消えてクリアになる場合もあるでしょうし、セカンドオピニオンを訊くことは、弁護士に対する関係でもとても意味があることだと思うのですが、考えてみると、セカンドオピニオンを求められた場合の対応というのは、なかなかに難しいものです。

 

依頼者が抱える問題・事件には客観的な事実関係が存在するわけですが、相談を受けた弁護士は、依頼者の方から口頭で説明を受け、また時には資料を見せてもらいながらその事実関係を把握する他ありません。

法律相談では、依頼者の方が、事案の把握に必要な情報を、全て最初から的確に説明してくれるとは限らず、むしろ弁護士の側からの質問も交えて、依頼者が話していないけれど必要な情報を聞き出し、だんだんに客観的事実関係を理解していく、ということが多いですが、セカンドオピニオンを訊きに来られる場合は、1回きりの相談で、限られた時間しかない、ということが多く、個別具体的な事実関係を把握したうえでの回答をすることは難しいことが多いでしょう。

 

この点、医者の場合は、出ている症状や検査結果データによって、ある程度、客観的状況を把握できるので、セカンドオピニオンに、より適しているのかもしれません。

 

弁護士の場合のセカンドオピニオンのむずかしさの理由のもう一点は、利害の相手方が存在している、という点にあるのではないでしょうか。

相手がいる以上、今後の方針決定にあたっては、相手の希望・動向を無視するわけにはいきません。しかし、そうしたことは、相手方と実際に交渉をしてみなければ分からない場合も多いものですが、セカンドオピニオンに答える弁護士としては、実際に交渉にあたらないので、今ある状況の把握という点で、やはり、難しさがあると思います。

 

 

このように、弁護士の場合のセカンドオピニオンは、その性質上、医者の場合よりも難しいのかもしれませんが、今依頼している弁護士の方針や対応に対して不安な点があるのであれば、こうした難しさはある、ということを念頭に置いたうえで、一度セカンドオピニオンを聞いてみるのは、やはりひとつの選択肢なのでしょう。

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