2012年12月5日 (水)

法律家とマンガ

 本棚にはその人の人格が現れる、と聞いたことがあります。たしかに、本棚に「キルケゴール全集」とか「罪と罰」とかがずらりと並んでいる人が、スポーツ万能でクラスのリーダータイプ、ということは絶対にないでしょうし(笑)、詩集や画集がたくさん置いてあるなら、その人は感受性が強く繊細な心の持ち主に違いない、と思ってしまいます。

 

 しかしながら、読む本は、その人の意外な一面を見せてくれるということも少なくありません。たとえば、法律家の中には、マンガを好んで読む人がけっこうたくさんいます。

 

 某法学部教授は、「ナニワ金融道」をゼミのテキストに指定していたそうですし、また別の教授は、「ドラゴンボール」の主人公である孫悟空が、さんざん修行に明け暮れたはずの最終回で「オラ、もっと強くなりてえ!」と言っていたことに感動し、自分も研究者として常に向上心を持ち続けなければいけないと誓ったとか。

 

 そんなことを思い出したのは、最近私は「ラブひな」なるマンガにはまっているからです。主人公である浦島景太郎は、子供のころ仲の良かった女の子との約束を果たすため、東大を目指して浪人を繰り返す受験生なのですが、なぜか親戚が経営する元温泉旅館の女子寮「ひなた荘」に住み込みで管理人をやることになり…というドタバタラブコメディです。

 

 なぜゆえに、34歳の立派なおっさんである私が、いまさらラブコメマンガなんかにはまることになったかといえば、先日参加した某講演会で、中山信弘先生という著作権法の大家が、一読を勧めておられたからです。

 

 著者である赤松健さんは、株式会社Jコミという会社を設立して絶版マンガを広告付きで無料ウェブ配信する事業を始め、その一環として、「ラブひな」全14巻を無料公開しています。講義の中で中山先生は、この事業を、著作権という排他的独占権によって作者の利益を守る旧来のモデルとは異なる興味深い試みとして紹介されていました。

 

 著作権法に関しては、近年、権利者の保護を厚くする方向の改正が相次いでいますが、「ラブひな」が商業的に成功すれば、著作者に適正な利益を還元して文化を発展させる方法は、著作権を強化する以外にもありうるということになり、著作権法の世界に一石を投じることになるかも知れません。

 

 みなさんも興味があれば、「ラブひな」を検索して読んでみて下さい。

 

なるほどです

インターネットの普及で商流も商売の手法も変化していますよね。
ところで、私も、児童虐待問題にかかわり始めたころ、「凍りついた瞳」という漫画を勧められたことを思い出しました。

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