今回は、法改正とリアル社会の力関係について、著作権の保護期間延長問題から考えてみたいと思います。

 

そもそも、私は、著作権関係の仕事を多く扱っており、同保護期間延長に関し、賛否両方の考えを持っており、いろいろと感じていることはありますが、今回の動きについては、中身の問題ではなく、プロセスについて、色々と感じるところがあります。

 

昨今の報道機関による情報によりますと、TPP交渉の中で、著作権の保護期間(現在は死後50年間です)が70年間に延長される方向で進んでいるようです。

 

「著作権が期間満了で消滅した後に権利が復活することはない」というベルヌ条約の規定、映画の著作物が従前から70年であることからして、実務的には、保護期間延長によって、大影響が出るわけではないかと想定されます。

 

しかしながら、実務的影響という次元ではなく、今回の方向性については、民主主義の観点から少し疑問を感じております。

 

つまり、今回の著作権保護期間延長の方向性は、著作権の現在の保護期間の妥当期間がどの程度なのかということがほとんど議論されず、TPP交渉(もっと言えば、アメリカの要求)ありきで進められているのではないか、民主主義のプロセスが全くないのではないかということです。

 

著作権の保護期間がどの程度が妥当かということは、文化に対する財産的価値をどのような評価をするかということに関係するものであり、国の文化政策に関する国民的コンセンサスが極めて重要なことだと私は思っております。

 

そのような文化に関わる国民的コンセンサスを得ることが必要な事項について、何ら本質的議論がされることなく、ただ、TPP交渉という圧力だけで方向性が決まってしまう。そのことに疑問を感じます。

 

法改正が行われるとき、そこには、何らかのリアル社会の力関係が影響されるものですが、国民的議論が不在なまま、進んでいくことについては、正直、違和感を拭えないものがあります。民主主義のプロセス抜きの法改正は、民主主義の自己否定にさえつながりかねない、そんな危惧を覚えます。

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