公にせず雇い主、上司と相談を

 

 

Q.先日、裁判所から僕の自宅に、裁判員候補者に選ばれたとの通知が届きました。今後、どういった手続きで裁判員に選ばれるのでしょうか。僕はサラリーマンなのですが、裁判には興味があり、ぜひやってみたいと思っています。でも、選ばれた時、会社が休ませてくれるか心配です。

 

 

A.あなたのお宅に届いたのは「裁判員候補者名簿への記載のお知らせ」ですね。これは毎年11月ごろ、翌年の裁判員候補者全員に届くものです。候補者は、お住まいの市町村の選挙管理委員会がくじで作った名簿を基に、有権者約400人に1人という割合で選ばれています。

 

「お知らせ」に同封された調査票では、自衛官や警察官などの裁判員になれない職業に就いていないかどうかや、70歳以上や学生であることを理由に辞退を希望するかどうかなどを回答します。忙しくて裁判員になることが難しい時期があれば、この時に合わせて答えましょう。この時点で裁判所に行く必要はなく、まず調査票を返送してください。

 

裁判所はその後、寄せられた調査票の回答に墓づき、個々の裁判ごとに裁判員候補者を選びます。候補者には、裁判が始まる約6週間前に、実際に裁判所へ来ていただく日時(裁判員選任手続期日)を記載した呼び出し状と質問票が届きます。

 

選任期日には、あなた以外にも数十人から百数十人の候補者が裁判所に来ていることでしょう。担当する事件の簡単な説明を受けた後、裁判官や検察官、被告人の弁護士と面談し、改めて辞退希望の有無を確認されます。その上で、その場にいる候補者から抽選で6人の裁判員と、必要に応じて数人の補充裁判員が選ばれます。

 

裁判員制度は、国民の常識を刑事裁判に反映させるための大切な手続きです。また、選挙権と同じく、国民一人一人が国の行為に関わる手続きでもあります。ぜひ、積極的に参加してください。

 

なお、裁判員法は雇い主に対し、裁判員となるための休暇取得を理由に解雇するなどの不利益な扱いを禁じています。労働基準法も、労働者が公の職務に就くために必要な時間を請求した場合、使用者が拒んではならないと定めています。

 

裁判員候補者であることを公にすることは禁止されていますが、日程調整のために雇い主や上司と相談することは差し支えありません。安心して裁判所にお越しください。

 

 

 

 <回答・水谷恭史弁護士(大阪弁護士会所属)>

   2013年12月14日 毎日新聞大阪版朝刊掲載

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