思いはきっと伝わるはず
このたび,東日本大震災に被災された方々には,心からお見舞いを申し上げます。
震災発生以降,多くの弁護士がこの話題に触れています。投稿者だけでなく,この震災を目の当たりにした方々はみな,今,自分に出来ることは何かを,日々考えておられることと思います。
「何をするのがベストなのか。それでいいのか。」最善の答えを探しあぐねて,結果,何もできず動きがとれないということもあるかもしれません。
原発問題を初め,震災の影響による問題はより深刻化し,問題発生以降,関係者によって取られた措置や行動が果たしてどこまで適切であったのか,議論は尽きないと思います。
もっとも,震災問題への政府対応等については私が個人でコメントできる立場ではありません。
ただ,例えば29日には,サッカー日本代表のチャリティーマッチが行われ,選手のプレーをみて勇気づけられたとコメントされている被災者の方の姿を拝見しました。選手は皆,「被災者を勇気づけるために,何ができるか」を考えて全力でプレーされたのだと思います。そして,その思いが実際に被災者の方に届いたのだと思います。
そういった,震災関連のテレビ放映等を見て,感じたこと,
「今,どういう行動をとるのがベストで,その思いは相手に伝わるのか」
今回はそんなテーマにしたいと思いました。私たちにとって非常に身近な問題も含めて。
自分の心の中にある,そういう思いを相手に伝えることは,実際は決して簡単なことではありません。何をどうしたら一番良いのか,それが分からくなることは良くあります。
相手のことを思い,悩みに悩んでとった行動や言動が,結果的に相手にうまく伝わらないことってあると思います。
私たち弁護士は,悩みを抱えた依頼者の方と一緒に,最善の解決に向けて努力します。ただ,全ての案件で勝訴するという訳ではありません。時には,納得のできない結果に終わることがあります。依頼者のために全力を尽くしてもなお,残念ながら結果に反映されないことはあります。
私生活でもそうです。家族関係,友人関係,何かでトラブルが起こったとき,相手のことを慮り,相手の気持ちを最大限考えて,解決のために自分なりにはベストの選択をしたと思っても,逆に相手の感情を逆撫でしてしまったことってありませんか?
確かに,仕事で悪い結果が出てしまった直後や人間関係で感情のすれ違いが発生した直後は,自分のとった行動について何をどう説明してもうまくいかず,相手との間で一時的に問題が大きくなることもあるかもしれません。
でも,私は,自分が,真面目に信念をもって取った行動は,いつか,必ず相手に伝わるのだと思っています。
伝わるかどうか,それは,最終的には真摯な思いやりの心だと思います。
文字にしてしまうと非常に陳腐です。すいません。
ですが,それ以外にどう表現すれば良いのか,なかなかうまい言葉が見当たりません。
ただ,そういう思いやりの心をきちんと持って行動したのであれば,時間がかかるかどうかは別として,いつかは相手に理解してもらえるのだと思います。
仕事がそうです。悪い結果が出たり,多少ミスがあったとしても,真摯に行動した結果のものであれば,必ず納得してもらえます。人間関係のトラブルも同じでしょう。
今,何をするのがベストか。
数学のように1つの決まった答えがあれば簡単なことです。正解はただ1つ。それ以外は全て間違い。
でも,震災への対応がそう,仕事や私生活のトラブルもそう,解決への答えは決して1つではありません。
では,どういう行動をとるべきなのか。
それは,どこまで相手のことを慮って真摯に行動するかなんだと思います。
真摯に思いやりをもってとった行動は,いつかきっと相手に伝わるはずです。すぐに伝わるのか,少し時間がかかるのか,それは程度によるかもしれませんが,どんなことでもそれは正しい行動の1つなんだと思います。
今回の震災に対しても,皆が,そういう思いをもって少しでも何か具体的な行動を取り,一刻も早く被災地が復興することを祈ってやみません。