皆さん,お久しぶりです。林裕悟です。

前回までは,皆さんに弁護士や弁護士会を身近に感じていただけるように,手軽に楽しめる題材を選んで投稿してきました。

が,今回は,私の趣味であるトライアスロンについて,ガッツリ書かせていただきます。

そう,去る7月19日(日)に鳥取県西部の皆生温泉で開催された第35回全日本トライアスロン皆生大会の参戦記です。

 

このブログをご覧いただいている皆さんの中には,トライアスロンという競技をあまりご存じない方もたくさんいらっしゃると思います。そんな方々にも少しでも分かりやすく読んでいただき,またトライアスロンの楽しさや面白さを少しでも理解していただけたら嬉しいです。

 

今回私が出場した全日本トライアスロン皆生大会は,日本で最初に開催されたトライアスロンの大会です。

35年前の1981年8月20日,皆生温泉の旅館組合の青年たちが,ハワイで行われている鉄人レース,IRONMANを参考に,手探りで開催したそうです。そんな日本で最初のトライアスロンの大会には,女子2名を含む53名の選手が出場しました。

そして,この第1回大会の優勝者は,あのフォークシンガーの高石ともやさんと下津紀代志さん。優勝者なのに,なぜか二人なんです。

そう,二人は,最後のランニングパートに入っても互いにトップを譲らず併走していたそうですが,最終的には手をつないで同時にゴールしました。高石ともや氏によれば,灼熱の太陽のもとで長時間にわたりすべてを出し切ってしのぎを削りあった二人は,お互いの頑張りをたたえあい,ゴールを目前にして自然と「一緒にゴールをしよう」という心境に至ったとか。

これが「勇者の伝説」。この精神は,いまもなお皆生で熱く語り継がれています。

そんな勇者の伝説に見守られて,今年も,皆生大会に出場しました。

少しでも勇者に近づくために。

そして,自分らしさを見つめなおすために。

 

では,さっそく,皆生大会参戦記のはじまりはじまり・・・

 

 

 

っとその前に,トライアスロンと皆生大会について,簡単に説明させていただきます。

トライアスロンとは,水泳,自転車,ランニングという3つの種目を,一人でこの順番で連続して行う競技です。大会によって距離は様々で,オリンピックや日本選手権などは水泳1.5km,自転車40km,ランニング10kmというショートディスタンスという距離で開催されます。

今回,私が出場した皆生大会はロングディスタンスと呼ばれる大会であり,水泳は3km,自転車は140km,ランニングは42.195kmで争われます。

現在,日本国内では,ロングディスタンスの大会は,この皆生大会を含めて,5つしか開催されていません。

皆生大会のほかは,沖縄県の宮古島で開催される宮古島大会,長崎県五島列島で開催されるバラモンキング,新潟県佐渡島で開催される佐渡国際トライアスロン,そして北海道洞爺湖温泉で開催されるアイアンマンジャパン。

 

そんななかでも,皆生大会の特徴は,なんといっても自転車のコースの厳しさと灼熱の太陽です。

自転車のコースは,皆生温泉をスタートし,大山を上り下りする山岳コース。上りでは頂上を目指して必死にペダルを踏み込み,下りでは次の上りに向けてスピードを保つためにとにかくペダルを回す。これの繰り返し。息つく暇もなく頑張り続けなければなりません。

そして,梅雨明け直後の灼熱の太陽にさらされながらのフルマラソンでは,暑さによって体力が限界まで削り取られます。ランニングスタート時点で,既に足はパンパン。太陽は真上。路面には陽炎が漂います。そんな中での42.195km。皆さん,想像できますか?

とにかく,過酷で厳しい大会なんです。

 

前置きが長くなりましたね。

今度こそ本当に,本題の皆生大会参戦記,はじまりはじまり・・・

 

 

水泳編

レース当日の7月19日,台風一過の皆生温泉海岸は,早朝から波高ゼロ。いわゆるべたなぎの状態でした。

3種目の中では水泳を得意種目としている私は,スタート地点の砂浜で,最前列のやや後ろあたりにスタンバイ。そして,午前7時,スタートの合図とともに,海に向かって駆け出します。

トライアスロンの水泳では,スタート直後にバトルと呼ばれる場所取り合戦があります。

少しでも直線的にロスの少ないコース(インコース)を泳ぎたい多くの選手が,同時に同じ海に向かって泳ぎ出すからです。

今年の皆生大会は,例年以上に激しいバトルになりました。

皆生の水泳コースは,スタート地点から約400m先に第1ブイが設置されており,コースはこの第1ブイで左に大きく折れ曲がります。そのため,第1ブイまでは多くの選手たちがコース左側に集中するのです。

私は,砂浜の中央部分からスタートしましたが,右からスタートした選手たちがどんどん左に寄ってきた結果,激しいバトルに巻き込まれました。

私の左側にはすでにある選手が泳いでいます。なのに,右側から別の選手が迫ってきます。その間に僅かなスペースを見つけて泳ぎ進むのですが,次にヘッドアップをして前を向いたときには,さっきまであったわずかなスペースが完全になくなっています。一瞬ひるむ私。ですが,私の後方からはすでに別の選手が私の足元に迫っています。

止まることすらできない私は,さっきまであった,そしてもう今はなくなってしまったそのスペースに突入するしかありません。

隣の選手に乗りかかられます。身体同士が激しくぶつかります。

でも,止まることは何の解決にもなりません。止まれば後ろの選手が私の真上に乗りかかってくるからです。とにかく,前に進むしかない。命の危険すら感じる厳しいバトルでした。

第1ブイに到着して,既に疲れ果てていました。必死に泳いだので息が上がっています。でも,バトルから解放されて,精神的な余裕が生まれました。まだ水泳は2.6kmも残っています。タイムはもうどうでもいい,とにかく落ち着いて2.6km先の水泳のゴールを目指そう。そう切り替えて,ゆったりとストレスのない泳ぎを意識して,ゴールを目指します。

スイムアップは59分24秒。予想通り,昨年の51分30秒よりも大きくタイムを落としています。疲労感も例年以上です。

ですが,とにかく,無事に陸上にたどり着き,2種目目の自転車のスタートラインに立つことができました。それだけで十分でした。

ウェットスーツを脱ぎ,バイクジャージに着替えて,美しくそびえる大山を目指します。

 

 

自転車編

2種目目の自転車がスタートしました。

この自転車のコース,大会2か月前に試走したのですが,そのときは絶不調。40km地点で既に足は疲労困憊のいっぱいいっぱい。おっちらおっちらと歩くくらいのスピードでしか山を上れませんでした。明らかに練習量が不足していました。そこで,5月以降は,皆生大会の登坂を意識して,上りを中心に練習を重ねてきました。

朝練と称して,出勤前の1時間,自宅の裏にある地元の山を上ってから通勤する日々を繰り返しました。

その成果でしょうか。

大会当日は,水泳での苦しみがうそだったかのように,快調に漕ぎ進むことができています。

今回の自転車の作戦は,「とにかく100km地点までは頑張らない。100km地点からラストの40kmだけを頑張る。」

というのも,一定の練習をこなしている者であれば誰でも100kmくらいまでは体力も脚力も残っていて,頑張れば速く走ることができます。

ですが,頑張りすぎると100kmあたりで足に疲労が蓄積し,速度が大きく落ちてしまうからです。

そうなるとランニングにも悪影響を及ぼします。

 

トライアスロンは3種目トータルのタイムで争う競技です。自転車の100kmまでが早かったとしても,トータルタイムで遅くなってしまcつては意味がありません。

最後まで,一定の速度を維持できることがとっても大切なのです。

そのため,「最初の30kmはウォーミングアップ」くらいのつもりで余力をもって走っていました。

そして,ちょうど30kmあたりに差し掛かりました。まだまだ足にも心肺にも余裕があります。もう少し出力を上げてもいいかも,などと思い始めていました。

ちょうどそのとき,知人の自転車が私の右側からスーッと追い抜いていきました。

この知人,私よりも実績も走力もある,能力の高い選手です。

でも,こんなにも「スーッと」抜かれてしまうほど,実力差はないように思いました。

もう少し出力を上げよう。

このとき,そう思ったのです。

 

そこからは,頑張るっていうほどではないにしても,ペダルにしっかりと力を加えて漕いで行きました。

いよいよ大山への長い長い上り坂に差し掛かりました。

いつもは苦しい坂も,なぜか今日は軽快に上って行けます。

いつもはどんどん追い抜かれるポイントも,逆に数人の選手を追い抜いていけます。

朝練の効果でしょうか。

もしかしたら,驚くようなタイムが出るかもしれない。

そんな過剰とも思える期待が胸の中に芽生えます。

が,朝練はせいぜい1時間。

トライアスロンで試されるのはもっともっと長時間にわたって一定の出力を維持し続ける持久力です。

今は軽快に上ることができても,やはり100kmあたりで大きな減速を余儀なくされるかもしれない。

はやる気持ちを抑えて,出力を上げすぎないように気をつけます。

 

100km地点付近に,大きなエイドステーションがあります。

ここでは毎年選手にメロンが振舞われます。

私はここでメロンをたらふく口にすることを毎年楽しみにしています

が,今年は2切れだけしか食べませんでした。

気持ちがはやっている証拠です。

100kmを過ぎました。

やはり足に疲労感を感じ始めました。

でも,まだ出力は落ちません。

「100km地点からラストの40kmは頑張る。」

この作戦を実行に移すときが来ました。

遅れはじめた周りの選手を,一人,また一人と追い抜いていきます。

この調子であれば,本当に驚くようなタイムをたたき出せるかもしれない。前半に抱いた淡い期待が,徐々に野望に変わりつつあります。

ラストの河川敷。例年,向かい風に苦しめられます。今年もやはり向い風。でも,今年は頑張ります。「驚くようなタイム」を目指して。

そして,ついにバイクアップ!

タイムは5時間08分。前回までの自己ベストである5時間33分を25分も上回っています。

メロンを我慢した甲斐がありました。

バイクジャージからランニング用のジャージに着替え,バイクシューズからランニングシューズに履き替えます。

満足感いっぱいで,ランニングのスタートラインにつきました。

 

長々と書き連ねてきましたが,まだ自転車編が終わったところです。

本当は,ランニング編,そうして感動のゴールシーンまでしっかりと描ききりたかったのですが,さすがに皆さんお疲れなのではないでしょうか。

やっぱり前置きが長すぎましたね…

 

ということで,感動のゴールシーンは次回に持ち越しということにさせていただきます。

ここまで楽しんで読んでくださった皆様の期待を裏切ってしまい,本当にごめんなさい。

次回の私のブログ担当日にご期待ください!

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過酷な競技?!

ロングディスタンス・・・本当に,私なら一つも勝負できなさそうです。
ここまででも相当すごいドラマがあるのですが,果たして走り切れるのか?!ゴールの瞬間はあったのか?!わくわくしながら続編期待しています!

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