坂本優と申します

 

前回(2016年11月8日)のブログでは,子ども会ソフトボールの楽しさについて書かせていただきました。

 

今日は,そのとき言い足りなかったことを書きたいと思います。

 

 

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皆さん,野球をやっている子どもを見かけましたら,「どこのポジションを守りたい?」と聞いてみてください。どのポジションが人気だと思いますか?

 

正解は,ピッチャー!

 

・・・ではありません。私がいろいろ聞いてみたところ,「ピッチャー」と答える子はかなり少ないです。私の印象では,内野,とくに二遊間が人気です。

 

少し前なら中日のアライバ,ヤクルトの宮本,今なら巨人の坂本,広島の菊池,ヤクルトの山田哲人,そういった魅力的かつスーパーな選手がいますからね

 

憧れるのも分かります

 

ですが・・・ここは敢えて言いたい,ピッチャーをやってみよう,と

 

 

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個人的な話で恐縮ですが,うちの長男次男は二人とも,小学生のソフトボールチームでピッチャーでした

 

ソフトボールのピッチャーは,腕を一回転させて投げる「ウィンドミル」という投げ方でピッチングをします

 

極めて特殊な投法ですので,習得には根気が必要です。長男次男とともに4年間,個人練習に付き合ってきました

 

その経験を踏まえて,ピッチャーをお勧めする理由を申し上げます

 

子どもばかりでなく,お父さん(お母さん)も結構しんどいです。が,やりきれば,得るものが大きいです

 

 

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■個人的ではない,チームに対する責任感■

 

一番大きいのは,「責任感」というのがどういうことなのか,具体的に親子で経験できたことです

 

 

いまさら言うまでもないですが,野球の全ての始まりは,ピッチャーのピッチングから始まります

 

小学生のレベルであれば,ピッチャーがきちんとしていて初めて試合が「野球らしく」なります

 

ピッチャーが四球を連発しない

 

ワイルドピッチでランナーを無駄に進ませない

 

強打者相手に甘いコースに投げない

 

こうした前提が整って,はじめて野手の守備力が試合の勝敗を左右するようになります

 

ピッチャーの力量は,そのチームの「前提戦力」なんですよ

 

頻繁に大崩れするピッチャーは,エースとして認められないし,大事な試合を任せられることはありません

 

 

ですので,きちんとした試合の出来るチームのエースと呼ばれる子供達は,皆,かなりの練習を積んでいます

 

特に,ソフトボールのウィンドミルという特殊な投法の場合,才能だけでは絶対に無理です

 

 

試合で四球を連発して試合を台無しにしたりするなど,

 

血の気が全部引くような

 

四方八方から針で刺されているような

 

そんな「つらい経験」をしながらも,

 

ピッチャーを諦めずに練習を積んだ者だけが,「ちゃんとしたピッチャー」になれます

 

 

この「つらい経験に負けずに,ピッチャーを諦めない気持ち」というのは,最初は「悔しさ」とか「活躍したい」という個人的な理由からなんでしょうけれども

 

チームとして複数の試合を経験していくにつれ,「チームが負けるのは嫌だ」という気持ちに由来するようになります

 

これが,ピッチャーの責任感であると思います

 

 

 

でもって,小学生ピッチャーの個人練習というのはどういうものかというと,父親(母親)と朝練していることがかなり多いと思います

 

 

というのも,なかなかキャッチングに付き合ってくれる友達も少ない(構えたとこに投げてこないので,キャッチングが結構しんどい)ので,必然,練習量を増やそうとすると,親が付き合うことが多くなります

 

親が付き合えるのは,ほとんどの場合,早朝だけです

 

朝練って子どももきついですが,付き合う親もきついです

 

ですが,親子で一緒のコトが出来るのって,小学生のときぐらいと思います

 

 

そうした「きついこと」を毎日続けられるのは,先ほど述べた個人的理由も少しはあると思いますが,

 

危機感をもって必死になる動機は,先ほど述べた「チームが負けるのは嫌だ」という気持ちだと思います

 

 

 

こういう,小学生ピッチャーの気持ち(責任感)ってどうやったら身につくのか,親に何かできることはないか,と考えてみると

 

ヤルと決めた以上は,どんなに前の日に仕事や付き合いでしんどくても,バシっと起きて朝練に付き合うこと

 

そういった親の支えというか,姿勢ですかね

どんなに前の日忙しかったり付き合いで遅くなっても,仕事に穴はあけませんよね。それが「責任感」

 

子どもがエースになりたくて「朝練しよう」といっているのであれば,それに付き合う親もそれに穴を空けないこと

 

そんな親の姿が,子どもの責任感を醸成すると思います

 

説教くさくなってしまいましたが,これが実感です

 

というのは,

 

「今日はお父さんしんどいから朝練やめよう」といったときの息子の落胆ぶりと,

 

「やっぱ朝練行こう」といったときの息子の嬉しそうな顔,両方見せ付けられてきましたので

 

そうやっていったりきたりしながら,4年間息子たちの朝練に付き合ってきました

 

 

 

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■買ってでも経験させたい緊張感■

 

もうひとつは,「極度の緊張にさらされる場」に臨む経験ができること

 

 

 

息子たちのチームは,夏に行われる市の大会で優勝することを目標にしています

 

その予選となる区大会,そして市大会のいずれもトーナメント方式です

 

市でトップになるには,区で3試合,市で4~5試合勝ち続ける必要がありますが,途中で負けたら,6年生はほぼ引退です

 

負けた瞬間,次年度のために5年生以下がメインになるからです

 

 

 

高校野球ほどではありませんが,「負けたら引退」のかかった試合でのプレッシャーはすごく大きい

 

自分だけが引退するんじゃないんです

 

何年も一緒に野球をやってきた同級生全員の「引退」がかかっているのです

 

 

 

全ての試合が緊張の連続ですが,特に緊張度が高まるシチュエーションがあります

 

例えば,同点最終回裏,2アウト満塁の3ボール2ストライク

 

ボールを投げたらその瞬間,チームが負けて引退

 

甘い球を投げてヒットを打たれたその瞬間,チームが負けて引退

 

 

そんなシチュエーション・・・滅多にないと思っている方,そんなことはありません

 

ズバリはなくともそれに近いシチュエーション,結構あるんですよ

 

例えば,最終回裏,同点でランナー3塁,というだけで,とんでもないプレッシャーです

 

ワイルドピッチやパスボール,これで負け

 

顔が引きつり,手が震えると思います

 

責任感を感じていればいるほど,緊張の度合いは増していきます

 

 

 

「何年もやってきたことが,その日数時間に集約される」という意味では,受験に似ていると思います

 

 

 

この間のセンバツでもワイルドピッチで点を取られているシーン多かったですよね

 

かといって,ワイルドピッチをおそれて高めにボールが浮けば,タイムリーを打たれる可能性が高くなります

 

そういうプレッシャーを目の前にして,力を出し切ることが求められます

 

親だったら,子にそういう経験,買ってでもさせたいですよね

 

 

 

 

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■ピッチャーはチームの「顔」■

 

そして,最後に,なんといってもピッチャーは「目立つ」「格好いい」

 

 

 

私は,息子たちの「アウトロー」あるいは「インコース」にズバッと投げ込んでの三振!

 

そして,そのときの(小さい)ガッツポーズ

 

これを見たくてたまらない

 

 

 

また,見たいかといえばちょっと微妙ではありますが

 

大事な試合で,ホームランを打たれたときの「うなだれた姿」も,またいいもんです

 

とことん練習を積んだからこそ,凄いヤツに打たれてうなだれる姿も絵になります

 

それを元気付けるチームメイト(息子の友達)の有難さも身にしみます

 

打たれた後の次の一球が,これまた気合の入ったアウトローだったときなんて,本当に痺れます

 

 

 

なんていうんですかね

 

親なら誰しも,子どもが必死に何かに取り組んでいる姿を見たいですよね

 

ピッチャーは,それを分かりやすく観ることの出来る役割といいますか

 

 

 

そういう気持ちで見ると,他のチームの頑張っているエースの子も応援したくなります

 

ああ,あの子も息子と同じように,息子よりもっと頑張ってきたんだな

 

そんな気になります

 

 

野球の試合は,マウンドのピッチャーを,自チーム,相手チーム,審判,運営,応援している人,全てが注視します

 

たとえ小学生であっても,マウンドでの立ち居振る舞いに「貫禄」さえ出てくる子もいます

 

 

この4年間の息子たちの対戦相手のピッチャーには,いろんな「凄いヤツ」がいました

 

市大会準決勝タイブレークというシチュエーションで,相手の主力バッターに,4連続チェンジアップを投げ続けて打ち取った,自分を信じる勇気のある小学生

 

終始感情をあらわにせず,アウトローに淡々と投げ込むクールな小学生

 

ピッチャー返しをまともに食らっても投げ続け,しかしながら負けてしまい,悔し泣きする小学生

 

そんなに体も大きくないのに,一球一球体全部を使って,観衆全員にため息をつかせるほどの剛速球を投げる小学生

 

そんな貫禄を醸し出すまでに,どんだけ練習を積んできたのだろうか,と尊敬すらします

 

 

うちの息子達はこれほどスーパーではなかったですけれども

 

私は,市大会最後の試合でのマウンドの息子たちの立ち居振る舞いをよく覚えています

印象的なのは,「ピンチに臨んで,深く深呼吸してモーションに入る姿」

 

必死にプレッシャーと戦っている息子の姿に

 

心の底から「頑張れ!」といいたくなる

 

そんな試合を見せてくれる息子たち,チームメイト,監督コーチ,大会運営者,そして手ごわい相手チームの子供達

 

ありがたいと思います

 

 

 

以上です。最後までお読みいただき,ありがとうございました

親と子の絆

お恥ずかしながらソフトボールのことはよくわからないのですが、ウインドミルは1つの象徴で、親子の絆を深め、子を育て親を育てる、特に子には、責任感を養い、極度の緊張感に臨む経験を積ませ、チームの顔としての振る舞いを身につかせるのだというお話だとお読みしました。お父さんが楽しそうというのがお子様に伝わったのだなと思った次第です。素敵なお話、ありがとうございました。

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