2011年11月25日 (金)

振り返る機会

先日、今月から修習に入る方と会って話をする機会がありました。

 

せっかく会って話をするのですから、少しでも意味のある時間にしたいと思いましたが、僕のような駆け出しが何を話せるか考えました。

 

実務に入る前と後とで違っていたこと、自分が扱ってきた事案や成功談・失敗談、現状、これからの展望。

 

後輩に話す内容を考えることは、自分のこれまでの歩みや今の立ち位置を振り返る、いい機会になるものです。

 

結局は身の丈どおりの話しかできませんでしたが、同期や先輩に話してもしたり顔で軽く受け流されてしまいそうな失敗談や苦労話でさえ、幸いなことにこれから実務を見られる方にとってはどれも新鮮に映ったようです。

 

弁護士には守秘義務がありますので、自分が扱っている事件の内容や結果について誰かに不用意に話すことはできません。

 

それも手伝ってか、自分が扱った事件について改めて振り返る機会は意外と少ないように思います。

 

ただ、ニュースになって世間を騒がすような事案に限らず、どんな事件にでも生身の人間の時に壮絶で深刻なドラマが控えているものです。

 

単純な事件、簡単な事件、軽い事件などないのです。

 

弁護士はそれら1つ1つの事案に日々必死で取り組んでいますが、守秘義務や次から次と対応しなければならない他の事案との兼ね合いもあって、つい振り返る機会を失くしたまま自分の中に眠らせている記憶もあるように思います。

 

そんななかで訪れた後輩と話す機会。

 

特に印象に残っている事案って何だろう、何でそれが印象に残ってるんだろう、成功した事案って何だろう、何で成功したって思えてるんだろう、失敗した事案って何だろう、どういう点が失敗したと感じてるんだろう、今一番しんどいと思ってる事案って何だろう、何がしんどいと思ってるんだろう等々、これ以上ない振り返りの機会になりました。

 

振り返ってみると、たった4年の弁護士生活でもホントにいろんな思いをしてきたことに気付かされました。

 

自分の中にこんなにも多くのものが詰まっていたのかと自分で驚くほどです。

 

弁護士には当事者が持ち込む事実の中から法的に意味のある事実を取捨選択する作業が必須だと言われますが、だからといって法的に意味のある事実とだけ向き合っていれば足りるわけもなく、例えば、法的には直接意味のない事実でも当の本人にとっては何よりも忘れられないとても大事な事実といったものもありますから、そこに寄り添うことは簡単ではありません。

 

まだ若輩の僕には消化し切れていないものが少なくないことにも気付かされました。

 

もうすぐ12月です。

 

みなさんにも今年を振り返る機会があるのではないでしょうか。

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