2010年7月28日 (水)

昨日の敵は・・・

弁護士というのは依頼者の代理人として、相手方との紛争解決に向けて、全力を尽くします。

 

ということは、相手方にしてみれば、憎き敵の代理人として前面に出てくるわけですから、敵本人と同様に(ときには敵本人以上に)憎らしい存在になるわけです。

 

特に、裁判などで提出される書面を作成するのは、おおかた弁護士ですから、書面の内容が腹立たしい場合には、相手方弁護士こそが憎い相手にみえてくるでしょう。

 

そんな仕事を10年以上やっていると、依頼者の相手方から、とことん嫌われ、憎まれ、ときには少々危ない思いをすることも少なからずあります。

 

 私の場合、幸い、こうして体は無事のままですが、先日、みなさんご存じのとおり、横浜の弁護士が生命を奪われるという痛ましい事件がありました。

 

同業者として、本当に許せない事件ですが、そういう危険と日々隣り合わせであることを、あらためて痛感させられました。

 

 

そういう中、先日、ちょっと心の和むできごとがありました。

 

今年になって解決したある事件の相手方ご本人から暑中お見舞いのハガキが届いたのです。

 

宛名も本文も全てご本人の手書きで、事件が解決したことへの御礼を丁寧に書いてくださっています。

 

 

この件は、裁判までは至らず、最後は話し合いによって合意書を交わして解決した事案でしたが、事件当初の当事者間の感情的なぶつかり合いは、かなりのものでした。

 

代理人の私に対する相手方ご本人の抵抗、拒絶も少なからずあったと思います。

 

ただ、この相手方ご本人は、こちらの話に耳を貸さないような方ではなく、きちんと議論、意見交換ができる方でした。

 

そのため、裁判で全面対決になる前に、話し合いで解決することができました。

 

 

事件解決後とはいえ、敵の代理人であった私にそのようなハガキをくださったことに、相手方ご本人の懐の深さを感じました。

 

また、相手方ご本人も、事件を早く解決したいという思いをそれだけ強くもたれていたのだと再認識しました。

 

裁判でシロクロつけることが大事な事件もありますが、争いを続けるということは、ご本人たちにとってそれなりにしんどいものでしょう。

 

できる限り、話し合いで解決できる方法を模索することも、われわれ弁護士の使命だと思っています。

 

 

日頃、相手方から恨まれることに慣れているせいか、この件では、依頼者だけでなく相手方からも評価していただけたような気がして、すごく得をした気分です。

 

今後は、相手方だけでなく依頼者からも恨まれるような事件処理をしないよう、気をつけようと思います。

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