(弁護士の使命)
第一条 弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。
    2 弁護士は、前項の使命に基き、誠実にその職務を行い、社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力しなければならない。

 

いきなり,条文の引用から始まりすいません。

 

60期の中井でございます。

今日の投稿に関係するので,冒頭にあげてみました。

    
  あまり,世間では話題になっていませんが,関東の弁護士会で,副会長選挙に登録4年目の弁護士が立候補し,若手の立場から政策提言をなされたようです。伝聞でしかないので,具体的な提言内容についてはコメントできません。ただ,個人的に色々と考えるきっかけにはなりました。
  
  その中で考えたのが「弁護士は特別な仕事なのだろうか?」という事です。
  弁護士は,何も特別な仕事ではなく,法的サービスを提供するサービス業に過ぎないという考え方があるように思います。とくに,司法修習について給費制が否定され貸与制に変わって以降,弁護士の側にも強くなっているように感じます。確かに,「修習生の大半は,弁護士になるのだから,個人的な資格を取るのに給料を出す必要はなかろう」などと言われれば,そのような気持ちが出てくるのも分らないではないです。
  
  ですが,個人的な結論としては,やはり弁護士は「特別な仕事だろう」と思います。根拠は,最初にあげた「弁護士の使命」に関する条文の存在です。他の専門職,隣接職種で,第1条に「使命」をあげているものは見当たりません。ざっと見たところ,税理士法の第1条が「使命」をあげていますが,司法書士法,行政書士法,社会保険労務士法など,その第1条は「目的」であることが多いようです。
  確かに,弁護士の仕事としては,ここの依頼者に対する法的サービスの提供が中心であり,そこだけ捉えれば,決して特別な仕事ではないと思います。ですが,弁護士は,弁護士法上の一般的な「使命」を負っている訳ですから,その意味でやはり「特別な仕事」だと思います。弁護士法1条が定められるにあたっては,それなりの経緯があり,理由があるのだと思います。「弁護士は,単なるサービス業に過ぎない」のであれば,この弁護士法第1条が定められた趣旨に対する反論が必要だと思うのですが,このことに言及されている意見は,あまり見たことがありません。
  
  ちなみに,弁護士が「特別な仕事」であることと,「特権的であるべきこと」とは,本来無関係だと思います。ただ,「特別な仕事」をする上で,経済的な基盤が必要なのも事実であり,そこが弱くなっているのかも知れません。司法事務の独占(弁護士法72条)との関係,他士業に業務範囲の浸食,法曹人口問題,法曹養成制度など,いろいろ絡めて考えなければいけないのですが,複雑すぎて,なかなか上手くまとめられません。
  
  ただ,単なるサービス業で終わることのできない何かが弁護士のお仕事にはあるように思うのですが。皆さんは,どう感じられますでしょうか?

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