2011年11月11日 (金)

同性愛者のための遺言相続

いついかなる世もマイノリティの権利擁護というものは後回しにされてしまいます。

最近,弁護士会では遺言相続関係に力を入れており,遺言書作成のサポートや中小企業の事業承継など,かなり充実してきているように思います。

私も遺言相続の電話相談や法律相談など,かなりの件数のご相談をお受けしてきました。

 

しかし,最近,ふと疑問に思いました。

一番遺言というものを大事にしなければならない人たちの相談を受けたことがない。

そう,それは同性愛者の方々です。

 

異性愛者であれば,結婚さえしてしまえば配偶者として2分の1の相続権がありますから,パートナーに万が一のことがあっても,その相続で何とかなることが多いでしょう。

しかし,同性愛者の場合,日本の法律では結婚できないことになっていますから,自分に万が一のことがあったときにパートナーに財産を遺そうと思えば,遺言書を作成しておかなければなりません。

被相続人の方に親兄弟などの法定相続人がいる場合,それらの人たちとの関係(カミングアウトの有無等)や遺留分行使の可能性などを総合的に考えて遺言書を作っておかなければなりません。

統計があるわけではありませんが,多くの弁護士がそのような遺言書作成の依頼を受けたことがないと思います。

 

これはなぜか。

もちろん,同性愛者の方々に「人に知られたくない」といった意識があり,なかなか相談にも行けないといった事情があるかもしれません。

しかし,それ以上に,弁護士サイドにそのようなマイノリティの方々の法的サービスの需要があることへの意識がなく,需要の掘り起こしが欠けていることに原因があるように思います。

 

当たり前のことではありますが,社会の高齢化が進めば,同性愛者の高齢化も進むのです。

相続は遺された家族に自分の財産を伝えるものですが,遺言がなければ,それは無機質な法律に則った法定相続分での分配に過ぎません。

遺言をするということは,財産を伝えるだけでなく,自分の遺志を遺すことで気持ちを伝えるものになります。

ぜひとも同性愛者の方々にもその必要性と重要性に気付いていただき,遠慮なく弁護士に相談していただければと思います。

LGBTとエンディング

はじめまして、私はお葬儀の仕事をしながらLGBTの権利に関する活動もしています。
ブログを拝見して、たいへん共感しました。

お葬儀の相談に加え、相続など死後の手続きのことも
少しお話をうかがうことがあります。
LGBTの方にご紹介する際は、やはりLGBTフレンドリーな
専門家に紹介したいと考えています。

今後も、需要の掘り起こしをはじめとする、
LGBT、そして他のマイノリティが安心して
生活を全うできる取り組みが各地で広がれば、と思います。

ありがとうございます

われわれ弁護士は,本来マイノリティの権利擁護のために働かなければならないのですが,まだまだ需要の掘り起こしの余地があります。
今後,私もそのような方々の声を拾い上げ,
権利擁護を実現できるような活動をしたいと思います。

吉川さんのように,すでに積極的に活動されている方に対しては,
本当に敬意しかありません。

今後も,ご活躍を期待しております。
私もがんばります。

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