2014年3月26日 (水)

ももクロのどこがいいの?

ももクロが国立競技場でのライブを果たした。

ももクロについて知らない人から,「ももクロのどこがいいの?」と聞かれることが多いが,僕はおおむね「そのストーリー性である」と答えることにしている。

しかし,それだけでは回答として不親切きわまりなかったと反省している。

 

ももクロのストーリーとは何か。

それは,成長の物語である。そのときどきに設定される高い壁を5人の少女が一生懸命に乗り越えていくお話である。

これだけだと陳腐に思われるかもしれないが,彼女たちの素直さ,一生懸命さをみていると,こちらまで一緒になって熱くなり,達成したときには涙を流すことになる。

 

しかし,紅白出場を果たし,国立でのライブを果たしたももクロに次の目標はできるのか。

モノノフたち自身,国立でのライブ後はしばらくその余韻から立ち直れなかったのだ。

 

国立ライブ2日目の最後の挨拶。

リーダーの百田夏菜子は,「もう大人は自分たちの前に壁を作ってはくれない」と言った。

そう,ももクロ自身もだんだんと大人になってきたし,なにより,国立ライブを2日間もこなすアイドルに壁を設定できる大人など,もう存在しえないのだ。

しかし,百田夏菜子は,「笑顔を届けることにゴールはない」と言った。

われわれは,いままで,ももクロが壁を乗り越えるごとに,感動したり,興奮したりしてきたが,思い返せば,最後には必ず笑顔になっていた。

ももクロのメジャーデビューシングル「いくぜっ!怪盗少女」の歌詞の中に「笑顔と歌声で世界を照らし出せ」という一節があるが,この子たちは,デビューからこの国立に到るまで,常に「世界に笑顔を届ける」ということで首尾一貫していたのだ。

 

ももクロにとっても,モノノフにとっても,国立ライブは素晴らしい経験だったが,それはゴールではなかった。笑顔を届ける過程,できるだけたくさんの笑顔を届けるための過程だったのだ。

 

はっきり言えば,この時代に生きていて,ももクロを観ないのは,「どうかしてるぜ!」としか言いようがない。

少しでも興味をもって,いろいろ観ていただければ,「どうやったらこんな子たちが育つんだろう?」との疑問にぶつかる。ももクロは,一つの育児論を提示している。

子どもが大人に成長していく過程で,一番尊ぶべきなのは「素直さ」だが,ももクロの「素直さ」は空前絶後だ。少なくとも,僕は物語の中以外で,こんなに素直に育った子どもたちを見たことがない。

僕は,ももクロの「笑顔を届けたい」という言葉に,何らの疑いも持たない。

素直な人の言葉は,素直に心に通ってくる。

 

もっとはっきり言おう。早くモノノフにならないと,ももクロが大人になってしまう。

無論,ファンにとっては,この子たちが大人になったとき,どんな活躍をするのかが楽しみでしょうがない。

しかし,ももクロという一つの物語を観るのなら,今しかチャンスはない。来年でも再来年でももう遅い。

 

これは,「ももクロのどこがいいの?」と尋ねてくる人たちへの,最後の注意喚起なのである。

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