2010年8月4日 (水)

盗塁を完璧に阻止する方法

はじめまして~ 佐伯です。

大阪弁護士会のHP、ご覧になられましたか?

ヒゲが生えていて無駄に笑っている男が僕です。

改めて、自分の顔を見ると、

 

太ってるな~。。。。

 

さて、気を持ち直して今日のネタですが、「盗塁を阻止するための方法」についてです。野球ネタですね。

 

わたしたち弁護士は、法律が言わんとしていることを解釈して、個々の事案に当てはめて事件を解決していく、ということを仕事の一つとしています。

法律は、あらゆる事案に対応できるようにとても抽象的に決められていますから、その解釈は重要です。

例えば、強盗罪は、「暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者」と法律で決められています。その一方、恐喝罪は、「人を恐喝して財物を交付させた者」と決められています。

 

ちょっと待ってくれよ、となりませんか?

 

「恐喝」「強盗」も人に暴行したり脅迫したりしてお金を取る犯罪です。ですから、Aさん(犯人)がBさん(被害者)を殴ってお金を取った場合、それが強盗なのか恐喝なのかは、個々の事案によって判断せざるを得ないわけです。

 

ちなみに裁判所は、「社会通念上一般に、被害者の反抗を抑圧するに足りる程度」の暴力や脅迫があれば強盗だと言っています(それ以外は恐喝です。)。わかりにくいですよね。

 

感覚的には、道ばたでドンッとぶつかって、「痛っ!兄ちゃん!金払え~」っていうのが恐喝、凶器をもってコンビニとかに入っていって、「強盗だ!金をだせ!」っていうのが強盗という感じでしょうか(「強盗だ!」とはあまり言わないでしょうが・・・)。

 

でも、強盗だ!ってコンビニに押し入った人が、どないやねん!ってほど、ひょろっひょろの体格で全然怖くなかったら、、、強盗だ!といくら言っても、あんまり強盗という感じがしないですよねえ。そこで、凶器を持っていたかどうか、凶器の種類は何か、といった事情をいろいろ検討するわけです。

 

まあ、何にせよ、法律は抽象的・一般的なものですから、個々の事案にあたった場合、法律を解釈して、事案に当てはめてみることが重要だということです。

 

さて、本題です。野球に限らず、スポーツにはルールがあります。そして、そのルールも法律と同様に、一般的・抽象的な決め方がされています。そして、スポーツの中でも、野球はルールが難解であり、かつ、曖昧だったりします。このルールを解釈することは、わたしの仕事ではないのですが、弁護士は、みな、職業柄、うっかり解釈をしたくなってしまいます。

 

例えば、盗塁についてですが、

野球規則では

「走者が盗塁を企てた場合、これに対して守備側チームがなんらの守備行為を示さず、無関心であるときは、その走者には盗塁を記録しない」

と決められています。

 

ここ数年、プロ野球では、このルールを厳密に適用しようとしているようです。

さて、これを厳密に適用すると、

そう

走者が盗塁をしたときに、守備側が無視すれば「守備側チームがなんらの守備行為を示さず、無関心であるとき」となり、盗塁は記録されないという余地があるのです。

つまり、無視すれば、盗塁を完璧に阻止できる!(もちろん、走者は次の塁に行っちゃいますけどね)という解釈もできる・・・

 

でも、それって少しおかしいですよね。この解釈によると、攻撃側チームのA選手と守備側チームのB選手が盗塁王を争っているときに、A選手が盗塁をしようとしたとき、これを守備側のチームが無視すれば、A選手には盗塁が記録されないことになります。

 

そこで、少し解釈を展開してみるわけです。たとえば、このような場合、守備側が盗塁に反応しないのは、むしろ、盗塁に「無関心」とは言えないと解釈できるのではないか。野球は、相手よりも多く得点を取るために行うスポーツである以上、勝つために合理的な理由があるとき(たとえば、同点で9回裏、ランナー1塁3塁で1塁ランナーが盗塁した場合。守備側とすれば、3塁ランナーがホームに帰ればサヨナラ負けなので、1塁ランナーに興味を示さないことがあり得る)以外に、盗塁を無視する理由はないのだから。といった解釈でしょうか。

 

ということで、結論を言うと、私の解釈は、盗塁を無視しまくってみても、盗塁を完璧に阻止することはできない。ということになります。

 

弁護士は皆、職業柄、日常生活でも、こんなことを考えながら生きています。

だから、けっこう、めんどくさい人間が多いです。

もし、みなさんが、弁護士と話していて、めんどくさっ、と思われたら、この弁護士もがんばって仕事してるから、こうなっちゃったんやな~、と暖かく見守ってくれると嬉しいです。

ではでは。

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