【国選付添人を積極的に選任することを求める会長声明】

 

少年法の一部を改正する法律(平成26年4月18日法律第23号。以下「改正法」という。)が、平成26年6月18日から全面施行され、国選付添人の選任対象事件が大幅に拡大された。日弁連及び当会は、これまで、観護措置がとられた全ての少年に対して国選付添人を選任するように求めており、当会としては、改正法は大きな前進であると評価する。

 

しかし、改正法は、ぐ犯をはじめとする多数の国選付添人選任非対象事件が存する点や、国選付添人選任が家庭裁判所の裁量とされている点など、国選付添人制度に関して日弁連及び当会が要望してきた内容に照らせば不十分と指摘せざるを得ない点が存する。この点については、今後も、観護措置がとられた全ての少年に対して国選付添人が選任されるよう、当会としては、少年法改正に向けて引き続き努力する。

 

このような現状において、改正法施行後、国選付添人選任対象事件であるにもかかわらず、家庭裁判所の裁量によって国選付添人が選任されなかった事案が散見されつつある。

 

この点、家庭裁判所が、少年に対して観護措置をとって鑑別所に収容するという判断をするにあたっては、観護措置が必要な理由が十分に存するのか否かという観点から審理していると思われる。一方で、国選付添人の選任を必要とする理由も、観護措置を必要とする理由と、同様の判断要素で判断されるべきである。とすれば、観護措置が必要な理由が十分に存する少年については、国選付添人を選任する必要性があると解釈すべきであり、「観護措置が必要な理由が十分にあるが、国選付添人は不要である」という事例は稀であるはずである。

 

あえて指摘するまでもなく、成人に比べて防御能力が劣り人格も未熟である少年に対する国選付添人の援助は、「少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行う」(少年法第1条)とともに、被害弁償等の被害者対応を適正に進める上で必要不可欠である。

 

これまで付添人の必要がある少年については、日弁連の特別会費を原資とする日弁連委託援助制度を利用して付添人の受任がされてきたが、本制度はあくまで国選付添人対象事件が拡大されるまでの補完的な制度であるから、「国選付添人を選任しなくても、私選付添人(援助付添人)としての活動がなされるのであれば、少年の権利保護は実現される」といった安易な発想で、国選付添人を選任しないという姿勢は、全く適切ではない。

 

当会としては、改正法の趣旨を評価するとともに、会員への研修の拡大や家庭裁判所等関係機関との連携を強化しつつ、国選付添人選任対象事件拡大への対応体制をよりいっそう万全なものとしていくが、国選付添人選任対象事件が拡大したとしても、家庭裁判所が裁量により国選付添人を選任しなければ、改正法は何ら少年の権利保護に資さないことになりかねないことを危惧し、国選付添人が積極的に選任されるよう強く求める。

 

2014年(平成26年)7月1日 

大阪弁護士会 

会長 石 田 法 子 

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