2014年8月22日 (金)

殺人事件の数

雑談の中で私が弁護士であるということを言いますと,刑事事件の話になることがあります。そして,「最近,昔に比べて殺人が増えましたねえ。」と言われることがあります。

この話には2つの誤解があると思います。

 

ひとつは,弁護士→刑事弁護という誤解です。
私は,以前は相当に刑事弁護事件を担当していたのですが,ある時期を境にあまりしなくなり,現在の私の仕事の大半は刑事事件以外が占めています。そういう弁護士は少なくないと思います。
もっとも,雑談でのことですので,私も適当に話を合わせたりしますので,この誤解はさしたる問題ではありません。

 

もうひとつは,「昔に比べて最近は殺人事件が増えている」という点です。統計を見る限り,これは明らかな誤解です。

私は,被害者の側での交通事故の事件を一定限度取り扱っています。
特に脳脊髄液減少症の患者の方の損害賠償請求事件をかなり取り扱っていました。
今日は,交通事故(人身事故)の被害者は損をしている,という話を2つしたいと思います。

1つ目は,少し宣伝じみますが,「交通事故で人身損害(怪我,死亡)を被った場合は,絶対に弁護士に頼んだほうがよい」ということです。
保険会社が被害者本人に提示する賠償額は,裁判などで認められる額の基準(これにも問題があることは後述しますが)に比べて不当に低いのです。


例えば事故で怪我をして入院すると,パジャマを買ったとかテレビのカードを買ったとか,そういう雑費は,個別に計算せず,1日あたり△△円で概算します。この△△円は,裁判所の基準では現在は約1500円ですが,保険会社の最初の提示額はたいてい数百円です。慰謝料,休業損害なども,裁判所の基準の5割から7割くらいです。

2014年5月28日 (水)

司法試験予備試験

過日,司法試験の予備試験の択一試験が終わりました。これに合格した人が7月に論文試験を受け,さらにその合格者は10月に口述試験も受けます。そうして決まる最終合格者は,法科大学院を修了しなくても,司法試験の本試験を受験できます。

 

私は,去年までの3年間,司法試験予備試験の民法の考査委員をしていました。その話をします。守秘義務がありますから,面白い話はしませんし,受験の役に立つ話でもありません。

 

私たちの仕事は,論文試験の問題作りから始まりました。各考査委員が持ち寄った案の中からベースを選び,それを練り上げて完成させます。私は,次に述べる採点よりも,いくつかの理由から,問題作成のほうを辛く感じました。

辛さの理由の1つ目は,問題作りそのものの難しさです。慣れている学者の先生方と違い,私は問題作りにいつも苦心しました。特に司法試験の問題の場合,学内の試験などとは違う特有の大変さや制約もあります。

 1月から3月までの人は早生まれになりますが,4月1日生まれの人も早生まれなのはなぜでしょう。回答を言う前に少し無駄話をしておきますので,法律の勉強をしている人は,六法を持って来て民法140条あたりを開いて考えてから続きを読んでいただいても結構かと思います。

 

 夏の甲子園の高校野球での最年少優勝投手記録は,唯一の1年生優勝投手である桑田真澄投手(元巨人)が持っています。しかも,彼は4月1日生まれですから,その最年少優勝記録は,ほぼ破られることがない記録です。野球選手には早生まれが少なく,4月生まれ(もちろん,1日は別です)・5月生まれが多いと言われる中,際立つ例外です。

 

 それと比べることは到底できませんが,実は私の次男も4月1日生まれです。予定日から数日遅れて「1学年下になるのかなあ」と思っていたのに,4月1日の朝になって急に産気づいて,その日の夕方にサッと生まれて来ました。同じ頃に入院したのに難産だった別のお母さんのお子さんは翌日に生まれたので1つ下の学年で,この数時間で大差がついたわけです。