夫が痴漢容疑で逮捕される ぬれぎぬ晴らすには-<法律のツボ>
無実訴えて弁護士の助言得る
Q.夫が女子高生に痴漢したとして、現行犯逮捕されました。
今も勾留されていますが、「絶対にやっていない」と言っています。どうしたらぬれぎぬを晴らすことができるのでしょうか。
夫は満員電車に棄っている時、前に立っていた女子高生から突然、腕をつかまれて「この人、痴漢です」と言われたそうです。
無実なら、振り払って逃げるべきだったのでしょうか。夫が勤務先の会社をクビにならないかも心配です。
A.痴漢は取り締まるべき卑劣な行為ですが、混雑した電車内では被害者の勘違いで間違って犯人にされてしまうことがあります。
これが痴漢冤罪です。映画監督の周防正行さんが、映画「それでもボクはやってない」で題材にしています。
痴漢は都道府県の迷惑防止条例で処罰(大阪府の条例では6月以下の懲役または50万円以下の罰金)され、悪質なケースは強制わいせつ罪(6月以上10年以下の懲役)に問われることもあります。
誤って逮捕されたとしても、容疑を否認している限りはすぐには釈放されず、高い確率で勾留されます。
とはいえ、その場から逃げ出すのは賢明な選択とは言えません。
駅構内の防犯カメラなどから特定され、後日逮捕されることもあり得るからです。
その場合、「やっていない」と否認しても、刑事から「痴漢したから逃げたのだろう」と追及され、言い分を信用してもらえない恐れがあります。
逮捕された時は、とにかく早く弁護士に相談することが必要です。
知り合いに弁護士がいなくても、弁護士会から派遣してもらうこともできます。本当は無実なのに、捜査官から「認めれば釈放するぞ」などと言われ、ウソの自白を迫られることもあります。
確かに、被害者から「犯人はあなただ」と言われてしまうと、ぬれぎぬを晴らすことは簡単ではありません。しかし、冤罪を晴らすためには、あきらめずに弁護士とともに無実を訴えるしかありません。実際、無罪判決を得られたケースは少なからずあります。
逮捕されたことを勤務先にどう説明するかは難しい問題ではあります。職場に知られた場合は、まずは奥さんや弁護士から、本人の言い分を丁寧に説明してください。
私の経験でも、会社に事情を説明して処分を待ってもらい、早期に職場復帰できた例があります。とにかく一刻も早く弁護士の助言を得ることが必要でしょう。
〈回答・辻亮弁護士(大阪弁護士会所属)〉
2013年9月7日 毎日新聞大阪版朝刊掲載
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