名誉毀損罪や損賠請求の可能性

 

 

Q.僕の友人が、一緒に入った牛丼屋でズボンにみそ汁をこぼされ、店員に土下座して謝るよう要求しました。最後には店長まで出てきて、みそ汁をこぼした店員と2人で土下座したのです。友人はその様子をスマートフォンで撮影し、友達に見せて回っています。こんなことをして大丈夫なのでしょうか。土下座強要の法律的な問題点を教えてください。

 

 

A.最近流行したテレビドラマでも、主人公が敵役に土下座させるシーンがありましたね。僕も楽しんで見ていましたが、実際に人に土下座を強要すると、罪に問われてしまう可能性があります。

 

あなたのご友人のケースですと、まず名誉毀損罪に該当しそうです。土下座した写真を見せて回っているのであれば、店員らの社会的評価を害する事実を、不特定多数の人に認識させたことになるからです。起訴されて有罪になると、3年以下の懲役・禁錮または50万円以下の罰金を科せられます。

 

実例もあります。昨年、洋服店の店員らに土下座を強要し、その写真をインターネット上に公開した女性が名誉毀損罪で略式起訴され、30万円の罰金刑に処せられました。略式でも起訴ですから、前科もつきます。

 

他に想定される罪として、強要罪も考えられます。この罪は相手を脅迫または暴行し、義務のない行為をさせた場合に問われます。例えば「痛い目に遭わせるぞ」とか「店の悪い評判をネットにばらまくぞ」と脅したり、相手の首をつかんだりして土下座させることなどが該当します。

 

先ほどの罰金刑になった女性も、最初は強要容疑で逮捕され、その後に強要については起訴猶予になった経緯があります。法定刑は3年以下の懲役で、罰金刑がありませんから、最悪の場合は実刑という重い結果になりかねません。

 

刑事責任だけでなく、精神的苦痛を理由に店員らに訴訟を起こされ、損害賠償を求められる恐れもあります。トラブルも病気と同じように早いうちに手当てすれば、大事を避けられるかもしれません。法律の専門家である弁護士にぜひ相談してください。

 

 <回答・東田展明弁護士(大阪弁護士会所属)>

            2014年1月18日 毎日新聞大阪版朝刊掲載 

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