2012年2月23日 (木)

為替デリバティブ取引

いわゆる為替デリバティブ取引とは

 

ある決められた期日になると契約で決められた価格で外貨を「購入する」ことができる「権利」を銀行から顧客が買う

 

と同時に

 

ある決められた期日になると契約で決められた価格で外貨を「売却する」ことができる「権利」を顧客が銀行に売る

 

というものです(上記は為替デリバティブ取引の典型例である通貨オプション取引の説明です。)。

 

簡単に言うと、たとえば、「契約で決められた価格」が1ドル=100円の場合、決められた期日の時点で、1ドル=101円以上となっていれば、顧客が購入する権利を行使し、1ドルを100円で買うことができます。(市場よりも安い価格でドルを買えることになります。)

逆に、

1ドル=99円以下の場合には銀行が売却する権利を行使し、1ドルを100円で顧客に売ることができます。(顧客は市場で買うよりも高い金額でドルを買わなければなりません)

 

このような取引の需要は、外貨で取引を行っている会社にあります。

このような取引を事前にしておけば、仮に円安になろうとも、決まった金額で外貨を購入できるため、為替変動のリスクを回避することができるのです。

 

というのが、銀行のうたい文句でした。

 

しかし、実際の取引においては、

 

●取引量において、銀行が売却するとき(円高のとき)と顧客が購入するとき(円安のとき)とで差が存在し、銀行が売却するときの方が、多くなっている(その分損失が大きくなる。)

 

●円安の場合には、限界が決まっているのに、円高の場合には限界が決まっていない(1ドルが120円になったときには契約は無効になるが、1ドルが80円になろうが70円になろうが契約は無効にはならない)。つまり、顧客の利益は天井があるのに、顧客の損失には底がないという状況になる。

 

●解約するためには、多額の解約違約金が発生する

 

 

などの顧客に不利益な条件がつけられているケースがほとんどです。

 

このような取引をしてしまった中小企業が、現在の円高によって、非常に大きな損失を被っている

 

という現状が存在します。

 

しかも、解約違約金が発生するため、解約したくても解約できない

 

ということで損害はふくれあがるばかりのようです。

 

そこで、企業を救済する手段として、金融ADRが多く利用されています(全国銀行協会あっせん委員会など)。

 

ADRを申し立てれば、解約違約金を減額した形での解約や、うまくいけば解約違約金を支払わずに解約することができます(あっせんはお互いの譲り合いの精神で成り立っていますので、どちらかを一方的に勝たせる内容にはなりにくいですが・・・)

 

少しでも解約違約金を減らして解除できるという点で、メリットがある手続きだと思います。

 

ただ、ADRの時点で、解約違約金を支払うか、このまま損失を出しながら取引を続けるか(もしかしたら円安に傾くかもしれないので、必ず損失が出続けるとも言えませんし)、経営者の方々は非常に悩むところだと思います。

 

できるだけ多くの企業が、ADRなどを利用して、損失を免れることを願っています。

 

 

当事務所にも、数年前、「円は今後絶対安くなります!」という

当事務所にも、数年前、「円は今後絶対安くなります!」という証券会社の勧誘がしつこくしつこくありました。為替取引に応じなくてよかったとつくづく思います。

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