法科大学院の実情
先週の日経新聞に、全国の法科大学院73校のうち、86パーセントにあたる63校で定員割れの状態になっているという、衝撃的な記事が載っていました。
弁護士の就職難は騒がれ始めて久しいですが、この業界を目指す人がそこまで減っているのかと思うと寂しくなります。
法科大学院に入るためには、5月~6月に行われる適性試験という試験(全国の大学院共通のセンター試験のようなものです)を受けて、夏ころから私立の入学試験、11月ころから国公立の入学試験を受けることになります(もしかしたら、今は少し時期が変わっているかもしれません)。
ですから、来年の入学を目指す方々は、今ちょうど適性試験を終えて、どの法科大学院を受けるか検討しているところだと思います。
そんな中でこんな暗いニュースばかり報道されたら、受験生も本当に法科大学院を目指していいものかどうか迷ってしまうでしょう。
たしかに法科大学院の現状は明るいものではありませんが、実際の法科大学院生がどんな生活を送って、法科大学院にどんな感想を持っているかはなかなか外に伝わりません。
そこで、今回は法科大学院修了者として、新聞やニュースではあまり報道されない、法科大学院の内側、法科大学院生の日常についてお話したいと思います。
私が既修者コースで入学したので、法科大学院在学期間は2年間でした。
同期入学38人で1クラス。毎日一緒に授業を受けて、完全に高校生に戻った気分でした。
授業中は先生に当てられてみんなの前で答えたりと、まさに高校以来の経験でした。
ただ、高校と決定的に違うのは、クラスメイトの年齢がバラバラということ。
入学時の年齢でいうと22歳から(推定)38歳くらいまで幅広い年齢構成でした。
これだけ幅広い年齢層のメンバーが、「先輩後輩」や「上司部下」ではなく、クラスメイト、友達として関われるというだけでも、大きな魅力でした。
さらに高校と違うのは、授業だけでなく、自習室での勉強中も常に一緒にいるということです。
仲のいいメンバーとは、毎日12時間前後、ほぼ週7日間同じ空間で生活していました。
これは苦痛と感じる人もいると思いますが、同じ目標に向けて頑張っている人が常に近くにいるというのは、厳しい試験を乗り越える上で大きな支えになりました。
それだけでなく、法科大学院では嫌でも人との関わりを持たないと生活していけませんから、社会に出る前に対人関係の訓練にもなったのではないかと思います。
このような幅広い年齢層の、多様な経歴を持つ友人と、2年間、密な時間を一緒に過ごせたことは今でも大きな財産になっています。
とはいっても毎日勉強ばかりの生活ですから、当時はしんどいこともたくさんありました。
そういうしんどい時間を一緒に過ごしたことも、法科大学院の友人との結束をより強いものにしてくれました。
今でも集まれば学生気分に戻ってバカな話ばかりしていますが、仕事の悩みなどを一番話しやすいのは、やはり法科大学院時代の友人です。
こういう大切な仲間ができたというだけでも、法科大学院に行ってよかったとつくづく思います。
法科大学院の現状を話すと言いながら、完全に感情に任せた思い出話になってしまいました。
ただ、ネガティブなニュースばかりが流れていますが、法科大学院にも魅力的な面があること、行って良かったと思っている修了生がいるということだけでも伝わればと思っています。
確かに
法科大学院生の日常はあまり知られていないかも。
同じ目標に向かって取り組んでいるから結束も固く、充実した日々が送れるのでしょうね。
確かに
合格された先生方にとっては、法科大学院生の日常は「ため」に
なったと思われるのでしょうが、3振された方の法科大学院での
日常も伺ってみたいですね。
双方の意見を聞いて、法科大学院制度そのものを考えるべきで
しょうね。
小島先生、匿名ユーザ様、コメントありがとうございます
確かに法科大学院での時間をどのように過ごしたかは人それぞれでしょうね。
様々な立場から様々な意見が発信されて、よりよい制度になっていけばと思います。
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