2011年5月30日 (月)

裁判員法施行3年目突入

初めまして!加藤慶子と申します。
初めての投稿です。今後ともよろしくお願いいたします。

何を書こうかと色々検討していましたが,
やはり5月は,裁判員裁判が始った月ですので,
自分の関心事と絡めて,一つ裁判員制度の話題など。


今月5月21日で裁判員法施行2周年を迎えました。
きっと,「裁判員制度」自身にとって,
怒涛のような2年間ではなかったかと思います。

弁護士会では,すでに裁判員法附則第9条に基づく,
いわゆる三年後検証に向けて、
裁判員裁判の運用状況の検証を踏まえた
制度改革提言案の策定作業に取り組んでいます。
(↑ソースは,日弁連会長のお言葉
http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/statement/110521.html)


私自身は,国民の刑事政策への理解の促進力となるものとして,
裁判員裁判に期待しています。

裁判員裁判では,被告人の生育史や,
犯罪に至ったときの生活環境を,
より深く掘り下げた弁護活動がされていると感じています。
(NITA研修では,弁護側の冒頭陳述で
「被告人に人格を与えよ」ということが指導されています。)

そして,裁判員は,被告人を一人の人間として理解し,
その更正を視野にいれた量刑を議論しているように思います。
裁判員裁判の執行猶予判決では,
保護観察に付される割合が多いのも,
その表れだと言われています。

裁判員制度を通じて,国民が,
これまで犯罪者を「モンスター」だとして
一線を画していた態度を懐柔し,

犯罪者の置かれた境遇を理解すること,
誰しもが犯罪者になる可能性があるということを
知ること,学ぶことが可能だと思っています。

これにより,社会に戻ってきてからの,
「立ち直り」に対する理解の素地が出来ることを
期待しています。



っというのが,私の裁判員制度に関する一般論なのですが,
こと少年事件については,異議があります。

細かい意見は割愛しますが,

まず,準備期間で,少年の貴重な1年間が失われることについて
改善が必要です。

次に,裁判員に対して,
複雑な少年の資質,生活史をふまえ,
それがどのように重大な事件につながっているのか,
タイトな時間的制約の中で
「目で見て耳で聞いて理解する」説明をすることは,
かなり難易度が高い課題であることが指摘できます。

さらに,昨今の少年事件の裁判員裁判では,
公判廷でいかに少年の不遇な環境を力説しても,
「事案の重大性」でひっくりかえされてしまっています。

この点については,弁護人側が,
「なぜ少年というだけで,成人の場合に比して
軽い処分で済むのか。」という強者の理論に対して
説明する言葉を持たなければならないし,

少年法の理念に基づく裁判に対する肯定的な雰囲気が,
世論として形成されることが求められ,
そのための働きかけが必要と感じているところです。


裁判員制度の3年後見直しの場面では,
あくまで見直し前提で出発した制度であることを
正面から認め,不都合性の多いところは
思い切って改善していくという
柔軟な対応がされることを望んでいます。

※以上はあくまで私個人の意見ですのであしからず。

ブログデビューおめでとうございます! 確かに、少年特有の問

ブログデビューおめでとうございます!
確かに、少年特有の問題は検証の過程でしっかり議論する必要がありますよね。

小島先生,コメントありがとうございます。今年は子どもの権利

小島先生,コメントありがとうございます。今年は子どもの権利委員会の先輩方が近弁連シンポ準備を熱くやっており,私も勉強をさせていただいていています。とても有意義です。

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