父親が借金を残して死去-「相続放棄」制度とは-<法律のツボ>
プラス財産調べて申し出を
Q.親が借金を残して亡くなりました。「相続放棄」という制度があると聞いたのですが、どういう制度ですか。
兄弟にも迷惑がかからないか心配なのですが、詳しく教えてください。
A.相続放棄をすると、父親の借金を払わなくて済みます。
父親が亡くなったことを知った時から3カ月以内に家庭裁判所に申し出なければいけません。印紙代800円と所定の郵便切手が必要ですから、最寄りの家庭裁判所にお問い合わせください。
そして、放棄したことは兄弟やその他の相続人にも知らせてあげましょう。でないと、借金は他の兄弟らに相続されて迷惑をかけてしまいます。
注意していただきたいのは、相続放棄をすると、プラスの財産も相続できなくなることです。
ネットオークションで落札-品物が届かない-まず返金請求し、被害届も<法律のツボ>
Q.友達がインターネットオークションでテレビを落札しましたが、代金を振り込んだのに品物が届かないという被害に遭いました。詐欺ではないかと思いますが、ネットオークションを巡るトラブルに巻き込まれたら、どうすればいいのでしょうか。
A.まず、相手方の連絡先が分かっているのなら、連絡して代金を請求すべきです。
その際、内容証明郵便を使った請求をすれば、後日の証拠にもなりますし、こちらがきちんと請求していることが伝わり、支払われやすくなります。それでも支払われない場合には、訴訟をすることになります。少額訴訟制度など、個人でも利用しやすい訴訟制度もありますので検討してください。
しかし、ネットオークションでは、相手方の連絡先が架空であることなどがよくあります。そのような場合には、オークション事業者に報告すると共に、警察に被害届を出してください。それですぐに捜査がなされる可能性は低いですが、同様の被害が多数出ている場合には犯人が逮捕されることもあります。
自転車事故の加害者、被害者-事前・事後の対応は-<法律のツボ>
現在加入の損害保険の確認を
Q 知り合いの子どもが自転車で通学中、お年寄りにぶつかってけがをさせてしまい、高額な賠償を求められています。自転車事故の加害者、被害者双方の立場になった場合に備え、事前の対策や事後の対応について教えて下さい。
A 自転車加害事故のような不法行為については、未成年でも責任能力があれば損害賠償責任を負います。一般に責任能力があると判断されるのは、12歳前後とされていますので、中・高校生が重大事故の加害者となった場合には、高額な賠償金が支払えないとの問題が生じることがあります(なお、親権者の責任を問える場合もあります)。
加害者となった場合に備えた対策は、保険に加入することです。あまり晋及していませんが、自転車には自動車損害賠償責任(自賠責)保険に類した「TSマーク付帯保険」があります。
また、自転車事故の賠償をカバーする個人賠償責任保険のほか、最近では自転車事故に特化した自転車保険といったものもあります。
労働組合へ相談・加入を-上司から「パワハラ」-<法律のツボ>
Q 会社の同僚男性が上司から理不尽なことでしかられるなど「パワハラ」を受けています。私たちも会社ににらまれたくないので、声を上げるのも難しいです。こうした問題にどう対応したらよいのでしょうか。
A パワハラという言葉は、近年、職場でのいじめを示すものとして多用されるようになりましたが、法的な定義はまだありません。概念のあいまいさゆえに、上司が必要な指導をすることも難しくなったとも言われています。
しかし、今回のケースは典型的な理不尽ないじめであるとして、対策を考えてみましょう。
まず、同僚の方に「あれは指導ではなくパワハラで不当。周りはみんなそう思って心配していますよ」というメッセージだけでも送ってあげてください。自分が孤立しているのではないと分かれば、とても気持ちが楽になるはずです。
奨学金が返せないー速やかに弁護士会の窓口で相談をー<法律のツボ>
Q 就職浪人中の知人の子どもが奨学金を返せなくなり、厳しい取り立てを受けて困っています。どのようにして解決したらよいのでしょうか。
A 最近、「奨学金が返せない」という相談が目立ってきています。これは、大学を卒業した若者が就職できない、あるいは就職できたとしても非正規雇用などのため収入が低く、自力で奨学金を返済できなくなっていることが主な原因となっています。
また、奨学金の保証人となっている親らも自身の収入の低下や高齢化などによる生活苦のため、支払いが困難になっていることも挙げられます。
この問題の背景としては、高卒では就職で不利になるため大学へ進学せざるを得ない現状や、国立大ですら授業料が年間50万円以上になるという学費の高額化、利息付きの貸付が大半を占めるという奨学金の教育ローン的性格があります。