立て替えた宝くじ 当選金もらえる? (2016年3月26日掲載)

Q. 友人から頼まれ、年末ジャンボ宝くじ30枚を代わりに購入し、代金は私が負担しました。当たっているか確認してほしいとのことで、確認すると1等が当たっていました。当選金のいくらかを友人からもらえるものでしょうか。

■代金以外認められない 委任契約は原則無償

A. 相談者がお金を請求したとしても、立て替えた宝くじの代金以外は認められない可能性が高いです。相談者は宝くじの購入を友人から頼まれています。これはいわゆる「お使い」であって、民法上の「委任契約」と呼ばれる契約です。
 例えば、あなたが友人にお菓子を買ってくるよう頼みました。あなたはお金を渡し忘れたので友人が全額を支払いました。そして友人が「あなたはお金払っていないのだから、私がもらう」と言い出した場合はどうでしょう。直感的に、友人が自分の物にしてしまうのはおかしいと思いませんか。それは、あくまでも、あなたと友人との間では「お菓子を買ってきてそれを渡す」という約束があったからこそ感じる違和感なのです。
 今回の相談内容は、お菓子が宝くじに変わっただけです。これを法律上の言葉で言うと、「受任者の受取物の引き渡し義務」といいます。仮に当たっていたとしても、その当選くじを引き渡さなければならないことに変わりはありません。
 では、お金も一切もらえないのでしょうか。相談者は宝くじの購入を代わりにしてあげたのですから、相談者がいなければ、宝くじの当選もなかったとも言えます。にもかかわらず、報酬を請求できないのでしょうか。
 残念ながら、委任契約というのは特約、つまり「宝くじの購入及び当選確認をすれば報酬を支払う」という約束がなければ、実費に相当する金額以外の報酬は請求できないという原則無償の契約なのです。であるので、相談者と友人との間で、別段の合意があれば別ですが、なければ宝くじの立て替え金のみ請求できるというわけです。
 もっとも業者との委任契約など、委任が商法という法律で規定される「商行為」に該当する場合は、報酬請求権も発生することになります。

〈回答・石山修平弁護士(大阪弁護士会所属)〉

※記事内容は掲載当時のものであり、現在の制度や法律と異なる場合もございます。

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