災害Q&A

大阪弁護士会は、今回の災害で被害に遭われた方の生活再建と、災害により生じた紛争の解決に取り組みます。

この頁では、被災直後の対応に必要な情報をQ&A方式でご案内しています。
また、被災された方に是非知って頂きたい国や地方自治体等の支援情報をお伝えしています。
支援内容は、日々変化しますし、地域によって対応が異なる場合があることをご了承ください。
できる限り最新の情報をご案内できるよう更新をしていく予定です。

※大阪北部地震のときの弁護士会ニュースはこちら

※被災された方に必要な公的支援制度の一覧や、生活再建に役立つ、日弁連「被災者生活再建ノート」はこちら(外部リンク)

【罹災証明】

Q1-1

り災証明(被災証明)ってなに?

A

災害で住んでいる家が壊れたときに、被災者からの申請により、市町村が家屋の損壊具合を調査した上で発行する証明書です。
全壊・大規模半壊・半壊・半壊に至らない(一部損壊)、等に分け評価されます。持ち家でも借家でも申請できます。
り罹災証明は、今後様々な支援を受ける際の基準となるものですから、必ず申請してください。
対象となるのは住宅ですが、市町村によっては店舗・事業所のり災証明制度が用意されている場合もあります。
詳しくは各市町村窓口にお問合せください。

Q1-2

り災証明書の認定に納得できない場合、どうすればいいのですか?

A

市町村の認定が納得できない場合には再調査を申し立てることができます。
その場合、Q1-3のとおり、被災直後の詳しい写真などがあれば役立ちます。

Q1-3

り災証明を申請する際の注意点は?

A

被災状況を記録しておくことがとても重要です。片付けや修理を行う前に、建物の様子を詳しく写真に撮っておきましょう
(火災・地震保険の請求の時にも役立ちます。)。

【公共料金・公的証明書等】

Q2-1

年金や健康保険料の支払はどうなるのでしょうか。

A

これまでの災害では、納期限が延長された例もありますので、支払が困難な場合には、市町村や年金事務所にご相談ください。
なお、口座振替は停止されない可能性がありますので、その点も市町村や年金事務所に連絡してください。

Q2-2

公共料金の支払はどうなるのでしょうか。

A

電気・ガス・水道・下水道・固定電話・携帯電話・PHS等について、料金支払期限の延長や免除等が受けられる場合があります。具体的には、それぞれの契約先に確認する必要がありますので、お問い合わせください。

Q2-3

実印や印鑑登録カードを紛失してしまいました。

A

実印がなくなった場合は、実印として登録可能な別の印鑑を準備して、新たに登録手続きをおとりください。
実印が手元に残っている場合は、既に登録されている印鑑登録証の廃止手続をとり、新規に実印を登録してください。
手続は市町村の窓口でご確認ください。

Q2-4

運転免許証をなくしてしまいました。更新期限も迫っていたように思うのですが。

A

各運転免許センターや住所地を管轄する警察署等で再発行手続きをおとりください。免許の更新については、東日本大震災・熊本地震の際は、それらの有効期間が特別に一定期間延長されましたので、今回の災害でもそのような措置がとられる可能性があります。

【預貯金・保険等】

Q3-1

色々と保険に入っていたはずなんですが、どんな契約があったかわからなくなってしまいました

A

それぞれの保険の種類ごとに、以下の窓口にご相談ください。
生命保険
生命保険協会「災害地域生保契約照会センター」
電話:0120-001731(平日 午前9時~午後5時)
損害保険
日本損害保険協会「自然災害等損保契約照会センター」
電話:0120-501331(平日 午前9時15分~午後5時)

Q3-2

災害で、保険料の支払いを続けることが難しい状態です。支払わなかったら契約を打ち切られるのでしょうか?

A

継続契約の手続期間や保険料の払込期間について猶予などの特別措置もあるので、契約した保険会社又は保険代理店に確認してください。

Q3-3

台風や地震で建物や家財が壊れた場合、火災保険は出るのでしょうか?

A

保険の内容が問題です。①建物だけでなく家財も保険の対象となっているか、②風災・洪水・地震等による被害が保険の対象となっているか、③どの程度被害があった場合に支払われることになっているか、などを確認する必要が有ります。住宅を対象とする一般的な火災保険では、風災・ひょう災・雪災による被害については補償の対象となっている場合が多いようです。
洪水や集中豪雨等の水害や、地震による被害に対しては、水災特約・地震特約があった場合にだけ保険金が支払われます。
ただし、これらの特約に加入していない場合でも、保険(共済)によっては、見舞金などが出る場合があります。
保険会社(共済)に確認してみてください。

Q3-4

地震特約がついてないと、生命保険金は出ないのでしょうか?

A

東日本大震災の際は、生命保険各社は地震特約を適用しないこととして、保険金が支払われたことがあるようです。
今後の災害時においても保険金が支払われる可能性がありますので、保険会社にお問い合わせください。

Q3-5

地震や津波で自動車が壊れてしまいました。車両保険は使えますか?

A

車両保険は、原則として、地震・噴火・地震や噴火が原因の津波による損害は補償対象外とされています。地震・噴火・津波危険(車両損害)担保特約があれば、地震による損害も補償されますので、保険会社にお問い合わせください。

Q3-6

預金通帳やクレジットカードを紛失してしまいました。どうしたらいいでしょうか?

A

銀行やクレジット会社に紛失・逸失の連絡をして、口座の停止や再発行の申請をしてください。東日本大震災のときは、全国銀行協会において、被災して亡くなった方が、どの銀行に口座を持っていたか分からない場合に、照会できる制度(被災者預金口座照会センター)を立ち上げました。今回の災害でも同様の措置があるかもしれません。

Q3-7

この災害で土地の権利証をなくしてしまいました。土地の権利がなくなるのでしょうか。売買するときに問題がありますか?

A

権利証がなくなっても、不動産の権利が失われるわけではありません。権利証は再発行される書類ではありませんが、権利証がなくても、売買や相続などは可能です。他方、権利証だけでは売買等はできず、印鑑証明書などが必要となりますので、権利証だけで悪用される可能性もあまり高くはありません。権利証と実印、印鑑証明書などを一緒になくしたという方は、お近くの法務局にご相談ください。不当な登記を防止する手続があります。また、実印を変更する手続をとってください。

【支援金・見舞金・義援金・無利子貸付等】

Q4-1

屋根の一部が崩れました。応急修理したいのですが、どのような支援をうけることができますか?

A

一部の修理により居住が可能となる場合には、災害救助法の応急修理を利用することで、住宅を修理することができます。援助額は最大で59万5000円です。但し、所定の修理見積書を利用しなければなりません。原則として災害発生の日から1ヶ月以内に修理が完了することが必要等の条件があります。
注意しなければならないのは、この制度を利用すると、仮設住宅に入れなくなるなど、他の支援を受けられなくなる場合があることです。過去の災害では、慌てて応急修理を利用したが、最大で60万円程度の援助では十分な修繕ができず、雨漏りなど直らないまま仮設住宅にも入れなくなり困り果ててしまう、というケースもありました。それ以外にも、応急修理と被災者生活再建支援金を重ねて受給できるかどうかも確認が必要です。制度利用にあたっては、契約前に必ず、応急修理により住宅の復旧が本当に可能か、等を十分に確認し、市町村窓口にも十分な確認・相談をするようにしてください。
なお、既に契約済みの方も、弾力的な運用がなされた事例がありますので、応急修理の適用を受けることができるか、市町村に確認してみて下さい。

Q4-2

災害の影響で仕事もできず、当面の生活費に不安があります

A

災害の規模や被害の大きさに応じ、法律で定めた見舞金等を支給する制度や、義援金が分配される場合があります。それ以外にも、市町村や府県が独自に支援策を設ける場合もあります。これらの情報についてはできるだけ当HPでもご案内するようにしていきます(そのうちの一部は以下でもご紹介しています。)。これら以外でも、以下の制度等があります。

生活福祉資金の貸付(緊急小口貸付):社会福祉協議会が原則として10万円まで貸し付けます。詳しくは、各市町村の社会福祉協議会までお問い合わせください。
住宅確保給付金:生活困窮者自立支援制度に基づき家賃の支払について支援を受けることができる場合があります。各地の市町村か社会福祉協議会にお問い合わせください。

Q4-3

災害弔慰金(災害弔慰金の支給等に関する法律)について教えてください

A

災害により、生計を維持していた方が亡くなった場合には500万円、その他の方が亡くなった場合には250万円を、ご遺族に支給する制度です。支給の順位は、配偶者→子→父母→孫→祖父母の順です。いずれの方もいない場合には、死亡時に亡くなった方と同居又は生計を同じくしていた兄弟姉妹も支給の対象者になります。問合先は市町村です。

Q4-4

災害見舞金(災害弔慰金の支給等に関する法律)について教えてください

A

災害により、生計を維持していた方が重い障害を受けた場合には250万円、それ以外の方が重い障害を受けた場合には125万円を支給する制度です。重い障害とは、両眼の失明や、両腕をひじ関節以上で失った場合、両脚をひざ関節以上で失った場合、等を言います。問合先は市町村です。

Q4-5

被災者生活再建支援金(被災者生活再建支援法)について教えてください

A

被災者生活再建支援法が適用されたエリア内の住宅が激しく壊れた世帯に対して支援金を支給する制度です。Q1のり災証明で全壊か、半壊でもやむを得ず住宅を解体した世帯(以上をまとめて「全壊等」といいます。)または大規模半壊と認定された方々に対する支援となりますので、予めり罹災証明を受ける必要があります。
住宅の被害の程度に応じて支給する基礎支援金と、買替・修理・賃借等住宅の再建方法に応じて支給する加算支援金(加算支援金)が支給されます。

住宅の被害程度
全壊等 大規模半壊
支給額 100万円 50万円
住宅の再建方法
建設・購入 補修 貸借
支給額 200万円 100万円 50万円

※震災当時、世帯人数が1人の場合は、各該当欄の金額が4分の3になります。
※再建方法の「賃借」には、公営住宅を借りた場合を含みません。
※例えば、住宅を全壊で失った方には、基礎支援金として100万円が支給され、その方が、新たに家を建てる場合には、加算支援金として200万円が支給されることになります。また、一旦住宅を賃借した後、自ら居住する住宅を建設する場合の加算支援金は、まず賃借により50万円が支給され、その後建設により、合計して200万円になるまで支給されます。

いずれにしても、片付ける前に家屋の外観・内部を写真に撮影する等して残しておくようにしてください。申請先は市町村です。 申請期間は、基礎支援金が災害発生日から13ヶ月以内、加算支援金が災害発生日から37ヶ月以内です。 この法律が適用されて支援金が支給されるのは、「全壊建物が10戸以上ある市町村」等です。お住まいの地域に被災者生活再建支援法の適用があるかどうかは、市のHPなどでご確認ください。

【毎月の住宅ローンや事業ローンの支払ができなくなった】

Q5-1

被災して仕事どころじゃなくなったため、毎月の住宅ローンや事業ローンの支払ができなくなりました。どうすればいいのでしょうか?

A

お手元に500万円以上を残したまま、住宅ローン・事業ローンの免除・減額を受けることができる可能性があります。まずは弁護士会までお問い合わせください。「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」により、住宅ローン等の免除・減額を受けられることがあります。

同制度には、利用できた場合、

① 弁護士(登録支援専門家)による手続支援を無料で受けられる
② 財産(後記支援金等を含む)の一部を手元に残してローンの支払免除・減額等を受けることができる
③ 破産等の手続と異なり、債務整理をしたことは個人信用情報として登録されないため、新たにローンを組むときに不利益がない
④ 原則、連帯保証人も支払いをしなくてよくなる

等のメリットがあります。
そのため、安易に地震保険金等でローンの一括、繰上返済などをしないよう注意が必要です。繰り返しになりますが、支援金・弔慰金等を手元に残してローンの免除・減額を受けられる場合もあるので、これらをローンの返済にあてる前に、弁護士又は金融機関にご相談ください(金融機関に相談する前に弁護士に相談することをお勧めします)。

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