海鮮居酒屋の水槽に潜る 公開され臨時休業に

Q. 僕は海鮮居酒屋でアルバイトをしています。店にはいろいろな魚が泳ぐ大型の水槽があり、新鮮な刺身を提供するのが売りです。ある日、閉店後にバイト仲間と悪ふざけをし、海パンをはいて水槽にもぐりました。これを仲間が写真を撮り、ツイッターで公開してしまったので大変なことになりました。店が特定され、臨時休業に追い込まれたのです。店長からは「きっちり責任を取ってもらうからな」と言われました。僕はどんな責任を負うのでしょうか。

■刑事と民事で責任の可能性

A. ツイッターやフェイスブックといったソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)は便利な反面、情報があっという間に広がり、思わぬトラブルに発展するケースも少なくありません。以前にも、コンビニの従業員がアイスクリームケースの中で寝そべる画像がインターネット上に出回り、社会の批判を招いて店が休業するといったことも起こりました。
 さて、あなたがやってしまった行為については、刑事と民事の両方で責任を問われる可能性があります。まず、刑事上の責任について説明します。水槽にいた魚は衛生上そのままでは客に提供できなくなったと思われるため、食材としての効用を失わせたことになり、刑法の器物損壊罪が成立します。3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料に処せられる可能性があるでしょう。また、店は臨時休業に追い込まれたので、刑法の威力業務妨害罪3年以下の懲役または50万円以下の罰金、もしくは軽犯罪法違反の罪で拘留や科料の刑罰を受ける場合があります。
 次に、民事上の責任です。あなたの行為は雇用契約上の義務に違反していると考えられます。店から解雇されるだけでなく、債務不履行責任や不法行為責任に基づき、店が被った損害の賠償を求められる可能性があります。賠償請求額としては、客に提供できなくなった魚の代金や水槽の洗浄代のほか、店が営業できなくなった損害、つまり営業していれば得られたであろう利益が想定されます。合計するとかなり大きな金額になるかもしれません。このように、軽い気持ちでやってしまった悪ふざけであっても、刑事と民事の両面で重大な責任を負う可能性があります。どのように対応したらよいか分からない場合には、弁護士などの専門家に相談するようにしてください。


<回答・吉田豪弁護士(大阪弁護士会所属)>

※記事内容は掲載日時点のものであり、現在の制度や法律と異なる場合もございます。

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