書店で雑誌の中身をメモや撮影は・・・

Q.        
■モラルを欠く行為 著作権侵害の可能性

A.  書店での立ち読みはあまりほめられることではありませんが、本の中身が気になった場合などに軽く読むことは日常でもよくあることです。とはいえ、本の情報をどこかに記録するとなると話は別かもしれません。
まず、雑誌の情報をメモ用紙に書き写す行為や写真撮影する行為が窃盗罪に該当するかですが、「情報」は「財物」ではないので窃盗罪は成立しません。しかし、著作権側の権利を侵害する可能性があります。著作権法で、著作者は著作物を複製する権利を専有しています。複製権です。著作物とは思想、感情を創作的に表現したもので、文芸、学術、美術、音楽の範囲に属するものをいいます。
雑誌を携帯カメラで撮影する行為は複製権を侵害する可能性があり、侵害した場合について著作権法は罰則を定めています。ただし、①使用者本人が複製し②個人や家庭内、それに準ずる限られた範囲で使うことが目的であれば「私的使用のための複製」として、複製権を侵害しません。
メモ用紙に書き写す行為は、写した内容が「著作物」に該当すれば複製権を侵害する可能性があります。もっとも①と②の要件を満たせば、複製権の侵害になりません。本に書かれた情報をご自身で利用する限り、著作権の侵害にはならないでしょう。
さらに、張り紙で雑誌などの写真撮影禁止を明示している書店などに撮影目的で入り、撮影した場合、理論的には建造物侵入罪の成立も可能性としてはあります。ただ、実際に同罪が成立するかは微妙なところです。いずれにせよ、相談のような行為はモラルを欠く行為ですので、慎むべきです。

<回答・服部崇博弁護士(大阪弁護士会所属)>

※記事内容は掲載当時のものであり、現在の制度や法律と異なる場合もございます。

ページトップへ
ページトップへ