お見合いパーティーで偽の名刺配布

Q. NPO法人が主催したお見合いパーティーに友人が偽名で参加し、実在する会社名が記された偽の名刺も作って会場で配布していました。「交際すれば相手に本当のことを言うよ」と友人。こんな行為は法的に問題ないのでしょうか。

■添え書きあれば罪に 私文書偽造や詐欺罪にも

A.  他人(実在しない場合も含む)の名義で、一定の要件を満たす文書を作成した場合、私文書偽造罪に問われます。ここでの「文書」とは「人の意思・観念が表示されたもの」をいいますので、単なる名刺の偽造であれば、同罪に問われることはまずないでしょう。
しかし、偽造名刺に添え書きなどをした場合は「文書」とされる余地があり、同罪に問われる可能性があります。そうなると、名刺を配布した行為について、偽造私文書等行使罪も成立することになります。また、パーティーで知り合った相手や偽の名刺に記載された実在の会社との関係でも、偽計業務妨害罪などの刑事責任を問われる可能性があります。偽名などでパーティーに参加する権利を得たことが詐欺罪に問われることもあり得ます。NPO法人やパーティーの参加者、その実在の会社、さらには名刺の名前の人が実際に在籍していた場合にはその人から民事上の賠償責任を問われる恐れもあります。
交際しても、仮に真実を告げる前に、偽名や偽の肩書きを信じている相手にプレゼントを要求したりすると、詐欺罪とされる可能性もあります。
ご友人には、このような行為は慎むよう強く忠告してあげてください。

〈回答・植田豊弁護士(大阪弁護士会所属)〉

※記事内容は掲載当時のものであり、現在の制度や法律と異なる場合もございます。

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