振込制限実施に関する要望書

振込制限実施に関する要望書

2017年(平成29年)9月11日


全国銀行協会      御中
全国信用金庫協会    御中
全国信用協同組合連合会 御中
大阪銀行協会      御中


  大阪弁護士会      
  会長 小 原 正 敏


振込制限実施に関する要望書


1 要望の趣旨
 貴団体所属の各金融機関に対し、ATMを利用した特殊詐欺の根絶のために、すべての金融機関においてATMにおける振込制限(70歳以上、過去3年ATMでの振込実績がない場合等)を実施するように働きかけを行われたい。

2 要望の理由
 オレオレ詐欺をはじめとする特殊詐欺被害が後を絶たず、2016年(平成28年)における被害金額は400億円にのぼっている。これらの犯罪には、主に金融機関のATMが利用されているところである。これまで特殊詐欺被害防止のために、高齢者に対する注意喚起・情報提供や、金融機関やコンビニエンスストア等のATM設置場所に勤務する者らに対する見守りの要請などがされてきたが、上記のとおり被害はまだまだ多発している。
 この点、昨年11月から、岡崎信用金庫が、「3年以上ATMで振込実績がない70歳以上の預金者の預金口座について、ATMからの振込限度額を『0円』に設定する。」という、特殊詐欺被害予防の対策を採用した。その後、愛知県内では本年4月までに全15信用金庫と名古屋銀行など3つの地方銀行が同様の振込制限を採用するに至っている。
 その結果、2016年(平成28年)8月に1か月で66件だった愛知県内の還付金詐欺の認知件数は2017年(平成29年)2月に1件まで激減したという* 。このような対策に対して、高齢者のATM利用の利便性が損なわれることを懸念する声もあるが、上記のとおりその被害予防効果は顕著なところであり、一方で特殊詐欺は一度被害に遭うと回復が極めて困難であることやATM利用を希望する高齢者は振込制限の解除を申し出ればよいのであって利便性の制限は限定的であることからすれば、上記の対策は是非とも推進されるべきものである。
 現在、上記の対策方法は、全国の金融機関に広がってきており、愛知、群馬、福井、岡山、岩手、大阪、鳥取、島根などの各府県では全信用金庫で振込制限が実施されている。
 また、同対策は、地方銀行にも広がりつつあり、福島銀行(福島市)、北日本銀行(盛岡市)、栃木銀行(宇都宮市)、琉球銀行(那覇市)、山梨中央銀行(甲府市)、香川銀行(高松市)、大正銀行(大阪市)などでも実施に至っている。
 しかるに、未だに都市銀行、ゆうちょ銀行及び多くの地方銀行などでは振込制限が実施されていない。高齢者をはじめとする特殊詐欺被害を予防するために、すべての金融機関においてATMを利用した特殊詐欺の根絶のためにATMにおける振込制限を実施されるように働きかけを行われたく要望する。

以上

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