「特定複合観光施設区域整備法」案(いわゆるカジノ解禁実施法案)に反対する会長声明

「特定複合観光施設区域整備法」案(いわゆるカジノ解禁実施法案)に反対する会長声明

 このたび「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」(平成28年法律第115号)を実施するための法案(「特定複合観光施設区域整備法」案、いわゆるカジノ解禁実施法案)が閣議決定され、国会に上程される運びとなった。
 当会は、2014年(平成26年)6月及び2016年(平成28年)12月の会長声明において、暴力団の関与やマネー・ロンダリングの懸念、ギャンブル依存症の拡大、多重債務問題再燃の危険性、青少年の健全育成への悪影響等、様々な問題があることに加えて、我が国では近代法制定以前から厳禁され、刑罰の対象とされてきた賭博行為を、特定の場所、特定の者に限定して非犯罪化するものであり、また、史上初めて民間賭博を国が公認するという、我が国の刑事司法政策に極めて重大な変更をもたらすものであることを理由にカジノ解禁について反対した。昨年8月に実施された国の意見募集(パブリックコメント)でも、「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」に反対する意見が多数提出されており、国民の理解や納得が得られた状況とは言えない。
 今般明らかにされたカジノ解禁実施法案によっても、上記の弊害は除去されているとは言えない。
 例えば、ギャンブル依存症対策として、入場回数を7日間で3回もしくは28日間で10回と制限し、日本人客の入場料を1回6000円としている。しかし、7日間に3回も入場すれば、すでに依存に近い状態というべきであるし、入場料6000円が、カジノ施設に安易に入場することを抑止する効果をもつ金額であるとは考えられない。政府は、カジノ解禁に当たり、世界最高水準の規制を導入すると繰り返し説明してきたが、シンガポールでは入場回数の制限は月8回とされ、入場料は約8000円とされていることと比較しても、これでは世界最高水準の規制とはいえない。そのほか、「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」第10条に定める必要な措置が十分講じられているとはいえない。
 以上を踏まえ、当会は、上記の様々な問題について再度慎重に検討し、立法や政策等による十分な対策を講じるよう強く求め、本法案について強く反対するものである。

2018年(平成30年)5月15日
   大阪弁護士会      
   会長 竹 岡  富 美 男

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