成年年齢を引き下げる「民法の一部を改正する法律」の成立に対する会長声明

成年年齢を引き下げる「民法の一部を改正する法律」の成立に対する会長声明

 2018年(平成30年)6月13日、国会において、「民法の一部を改正する法律」が成立し、民法の成年年齢が20歳から18歳に引き下げられることとなった。  
 成年年齢の引下げは、18歳・19歳の若年者の未成年者取消権がなくなることによって消費者被害が拡大する、養育費の支払を受ける期間が短くなる、高校教育における生徒指導が難しくなる、未成年者労働者の保護が後退する等のさまざまな弊害が指摘されている。2009年(平成21年)10月、法制審議会は「民法の成年年齢の引下げについての最終報告書」の中で、これらの点について国に対応を求めていたものの、その後、十分な施策が講じられず、その効果も認められない中、拙速に審議され成立したものであって、極めて遺憾である。
 当会は、政府において、今後、附帯決議を踏まえ、若年者の消費者被害を防止するため、いわゆるつけ込み型不当勧誘取消権の創設等の必要な法整備、特定商取引法、割賦販売法、貸金業法等における違反者事業者に対する処分等の執行の強化、自立した消費者を育成するための質量ともに充実した消費者教育の実施とそのための体制の整備、成年年齢と養育費負担終期が連動しないことの確認と養育費の取決め等を周知徹底するための必要な措置、「成年年齢引下げを見据えた環境整備に関する関係府省庁連絡会議」において弁護士等から意見を聴取する措置等のさまざまな措置・施策を早急かつ積極的に実施し、その実施と効果について調査・検証し、これを公表するよう強く求める。
 当会としても、上記のさまざまな問題に取り組み、若年者の消費者被害等を防ぐための活動を引き続き行っていくことを表明するものである。

2018年(平成30年)7月19日
     大阪弁護士会      
      会長 竹 岡  富 美 男

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