東京医科大学一般入学試験における女性差別の徹底解明と改善を求める会長声明

東京医科大学一般入学試験における女性差別の徹底解明と改善を求める会長声明

 学校法人東京医科大学内部調査委員会は、2018年(平成30年)8月7日、調査報告書を公表し、遅くとも2006年(平成18年)度の一般入試以降、2次試験の小論文の採点において、受験者が女性であることのみを理由として差別する点数操作を行っていたことを明らかにした。
 女性受験者に対するこのような一律の不利益な点数操作は、医師を目指し勉学に励む女性に対する重大な差別であり、憲法第14条1項の法の下の平等の規定に基づき教育基本法第4条が定める教育の機会均等の要請に反するものである。
上記調査報告書には、同大学における上記点数操作の理由として、女性は年齢を重ねると医師としてのアクティビティが下がる、と聴取をした旨の記載がある。これは女性医師の出産や育児による仕事の中断を指すと推測されるが、そもそも公平・公正であるべき入試において、女性という属性をもって一律に不利益に取り扱う操作は、いかなる意味においても正当化できない。
 なお、女性医師の休職や離職が多いという事実があるとしても、その原因の多くは、女性が家事・育児を担うことを求められ、男性の既存の働き方を改革しない社会構造にある。厚生労働省「医師の働き方改革に関する検討会」における検討内容等に基づき、医師の業界においても、ワーク・ライフ・バランスを確保できるための態勢をつくり、女性の就業継続・再就業支援等を進めるなど、既存の雇用制度を見直し新たな制度を構築するべきである。
 国は、2015年(平成27年)12月、第4次男女共同参画基本計画を公表し、「男女が自らの意思に基づき、個性と能力を十分に発揮できる、多様性に富んだ豊かで活力ある社会」「男性中心型労働慣行等の変革等を通じ、仕事と生活の調和が図られ、男女が共に充実した職業生活その他の社会生活及び家庭生活を送ることができる社会」等を目指すべき社会として掲げ、そのための施策を社会全体で進めていくことをうたっている。基本計画の中には、医療分野における女性の参画拡大も掲げられている。
 この点、東京医科大学においても、2013年(平成25年)に文部科学省の「女性研究者研究活動支援事業」に選ばれ、女性医師や研究者の出産・育児と仕事の両立を支援するため、3年間で合計8026万4000円の補助金を受けていたと報道されている。また同大学は国から年間20億円を超える私立大学等経常費補助金の交付を受け、医師養成という公共的役割を担うことを求められているのであるから、女性受験者への差別的取扱いなど決して許されるものではない。
 当会は、これまで、基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする弁護士の団体として、性差別の撤廃と男女共同参画社会の実現に向けて、会内での取組みを行い、社会に向けた提言を行ってきた。今回の内部調査報告を受けて、早急な調査が行われ、入学試験における女性差別実態の徹底解明と改善がなされるべきである。

2018年(平成30年)8月10日
     大阪弁護士会      
      会長 竹 岡  富 美 男

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