大阪市消費者保護条例に基づく不当な取引行為の指定の改正に関する会長声明

大阪市消費者保護条例に基づく不当な取引行為の指定の改正に関する会長声明

 大阪市は、本年6月18日から7月17日にかけて、大阪市消費者保護条例に基づく不当な取引行為の指定(平成2年大阪市告示第472号)の改正案について意見公募の手続を行った。この改正案は、契約を締結する意思がない旨の表示(住居等へはり紙若しくははり札をする方法等による表示を含む。)をしている消費者に対し、訪問をするなどして契約の締結を勧誘する行為などを、大阪市消費者保護条例第18条1項が禁止する「不当な取引行為」に該当することを明記することを内容とするもので、大阪市消費者保護審議会が本年3月29日に行った答申の内容に基づいて作成されたものである。当会も、改正案が市民の意識に広く適合するものであって、高齢社会において必要な内容であると考え、本年7月17日に賛成する意見書を提出した。
 ところが、改正案では、改正の告示を行う日を本年8月17日としていたにもかかわらず、未だ改正の告示がなされていない。
 本年9月14日に、当初の予定日から1か月以上も遅れて意見公募の結果が公表された。これによると、142件の意見のほぼすべてが改正案に賛成するものであり、反対の意見はなかった。結果の公表に際して、改正の遅れについての説明は全くなされていない。
 大阪市消費者保護審議会の答申を踏まえて作成された改正案が、意見公募手続においてほぼ賛成の意見を得ているにもかかわらず、未だその内容の告示がなされていないという事態は、透明で開かれた市政を推進し、市民の意見を積極的に市政に反映させ、市民への説明責任を果たすという意見公募の趣旨を損ないかねないものである。また、それは、同審議会の答申を軽んずるものであり、同審議会を設置して諮問を行うことを定める大阪市消費者保護条例をも軽視することにもなりかねない。
 以上から、大阪市においては、大阪市消費者保護審議会の答申及び意見公募手続の結果を尊重することを求める。

2018年(平成30年)10月2日
     大阪弁護士会      
      会長 竹 岡  富 美 男

ページトップへ
ページトップへ