最低賃金の大幅な引上げを求める会長声明

最低賃金の大幅な引上げを求める会長声明

1 厚生労働大臣は、本年6月頃、中央最低賃金審議会に対して、2019年度地域別最低賃金額改定の目安について諮問し、同審議会は、本年7月頃これに対する答申を行う見込みである。昨年、同審議会は、全国加重平均26円の引上げを答申し、これを受けて、全国各地の地方最低賃金審議会は、地域別最低賃金を決定した。大阪府の場合、それまでの大阪府最低賃金であった時給909円から時給936円への引上げとなった。

2 しかし、現行の大阪府最低賃金(時給936円)で、フルタイム(1日8時間、月約173時間、年約2076時間)稼働したとしても、月収約16万円、年収約194万円にしかならない。この金額では、賃金だけで自らの生活を維持していくのは困難である。先進諸外国の多くにおいて、日本円に換算した場合の最低賃金が時給1000円を上回ることと比較しても、わが国の最低賃金は依然として低水準にあり、早急に、最低賃金を大幅に引き上げることが求められる。また、本年10月には、消費税率8%から10%への引上げも予定されており、昨年と同程度の引上げでは、生活水準の改善にはつながらない。

3 先日、金融審議会・市場ワーキング・グループが公表した報告書「高齢社会における資産形成・管理」では、バブル崩壊後の賃金の伸び悩み、少子高齢化にともなう税・社会保険料の負担の増大などにより、夫65歳、妻60歳の高齢夫婦無職世帯では平均して毎月約5万円の赤字となり、20~30年の老後生活において公的年金だけでは1300万円から2000万円の不足額が生じることが指摘された。同報告書では、保有資産を活用した資産形成・運用といった「自助」の充実が求められるとされているが、現在の最低賃金の水準では、日々の生活を維持していくことすら困難であり、老後に向けた資産形成には程遠い。

4 以上のとおり、最低賃金の大幅な引上げは、わが国にとって早急に対処すべき問題である。
なお、最低賃金の大幅な引上げは、特に地方における中小企業の経営に少なくない影響を与えることが予想されるところではあるが、この点は、社会保険料の減免や減税、補助金支給等の中小企業支援措置や、中小企業の生産性を向上させるための各種施策につき、あわせて積極的に検討されるべきである。また、中小企業とその取引先企業との間の公正取引の確保のため、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律や下請代金支払遅延等防止法につきさらに積極的な運用が望まれるものである。

5 よって、当会は、中央最低賃金審議会に対し、地域別最低賃金の全国加重平均1000円を実現できるよう大幅な引上げを内容とする答申をすることを求めるとともに、大阪地方最低賃金審議会に対し、中央最低賃金審議会が提示する目安にかかわらず、大阪府最低賃金を大幅に引き上げることを求める。

2019年 (令和元年) 6月27日
       大阪弁護士会      
        会長 今川  忠

ページトップへ