特定複合観光施設区域整備計画認定に関する会長声明

特定複合観光施設区域整備計画認定に関する会長声明

 2023年(令和5年)4月14日、国土交通大臣は、特定複合観光施設区域整備法(以下「カジノ解禁実施法」という。)に基づき大阪府から提出された特定複合観光施設区域整備計画(以下「整備計画」という。)を認定した。
 当会は、一貫してカジノ解禁ひいてはカジノ解禁実施法について反対してきた。カジノ解禁により、暴力団の関与や青少年の健全育成への悪影響など地域の治安悪化につながる問題、ギャンブル依存症の拡大や多重債務問題の発生など生活の平穏の破壊につながる問題、マネー・ロンダリングの温床となりうる問題など、多数の弊害が生じる可能性がある。カジノ解禁実施法施行後に定められたカジノ管理委員会規則等の制定などによっても、これらの懸念が払拭されているとは到底言い難い。
 しかも、今回の認定審査は、有識者により構成される審査委員会によりなされたものの、会議は非公開とされ、審査委員会における認定審査の結果及び評価の過程については、区域整備計画の認定後にしか公表されないこととされた。当会は、2022年(令和4年)8月4日「改めてカジノ解禁に反対するとともに特定複合観光施設区域整備計画認定手続において公正かつ厳格な審査を求める会長声明」にて可能な限り審査状況を適宜公開しながら審査がなされるべきと指摘したが、いかなる審議経過であったかが認定結果が出るまで全く公表されないことでは、慎重かつ透明性を担保した審査手続とは言い難い。大阪府では、カジノ解禁の是非について住民投票条例の制定を求める直接請求の署名が法定数を超え、同直接請求がなされるまでに至った。これは、大阪府から提出された整備計画について、前述の各懸念に加えて、立地する土壌問題に起因する自治体の費用負担問題など、計画の実現可能性等様々な点から疑問が示されている状況であったためである。カジノ解禁に懸念や不安を抱く市民・地域住民が多数いることからすれば、適時に情報開示がなされ、十分な議論の下で判断がなされる高度の必要があった。
 以上の点から、当会としては、今回の整備計画の認定については到底容認できず、引き続きカジノ解禁について反対の意見を表明する。
 また、当会は、国土交通大臣及び審査委員会に対し、認定した整備計画にかかる審査経過について十分な情報(特に、整備計画の要求基準の適合性についての審査及び評価基準からして優れた計画であるかについての審査の各過程に関する情報)を直ちに開示するよう求めるとともに、国土交通大臣に対しては、都道府県等とIR事業者との間の実施協定締結の認可について、カジノ管理委員会に対しては、IR事業者に対する免許付与について、公正かつ厳格な審査が行われるよう求める。

2023年(令和5年)4月19日
          大阪弁護士会      
          会長 三 木 秀 夫

ページトップへ
ページトップへ