特殊詐欺被害の防止に向けた電気通信事業者の取組に関する会長談話

特殊詐欺被害の防止に向けた電気通信事業者の取組に関する会長談話

 不特定多数の者に電話を架けて現金等を騙し取る手口に代表される、特殊詐欺被害が後を絶たない。警察庁によれば、2022年(令和4年)中の認知件数は17,520件、被害額は361.4億円であり、これらは前年を大きく上回るものであった。特殊詐欺被害の大半は、65歳以上の高齢者に生じているが、被害者は、経済面のみならず精神面でも大きな苦痛を受け、その生活を一変させられてしまうことも少なくない。
 特殊詐欺被害は、固定電話への架電(いわゆる「アポ電」)に始まることが多いが、西日本電信電話株式会社及び東日本電信電話株式会社は、本年3月、①ナンバー・ディスプレイおよびナンバー・リクエストサービスを70歳以上の高齢者等について無償化すること、②特殊詐欺対策サービスを一定期間無償化すること(申込受付期間・申込数に制限がある)、③特殊詐欺被害を受け又は受ける恐れがある場合に電話番号の変更工事費を無償化することを発表した。当会は、2017年(平成29年)9月11日、上記両社に対して、「ナンバーディスプレイ料金一部無料化に関する要望書」を提出したが、両社の上記取組は、特殊詐欺被害防止のためにまさに必要なものであり、当会としてはこれを評価し、歓迎する。両社におかれては、上記取組を十分周知されるとともに、特殊詐欺被害の深刻さや、アポ電が強盗に押し入るための在宅確認に使用される例さえ生じている現状に照らし、同取組の効果を分析の上、上記各無償サービスの対象を65歳以上に拡大することや、上記特殊詐欺被害対策サービスを恒常的に無償化することを検討されるよう期待する。
 特殊詐欺被害の予防には、官民を問わず、高齢者に関係する様々な関係者による多面的な協力・取組が必要である。既にこれまで、西日本電信電話株式会社及び東日本電信電話株式会社以外にも、多くの事業者が、特殊詐欺被害防止のため、様々な協力を行っているところである。当会においても、高齢消費者講座への講師無償派遣、被害救済のための無料電話相談である「特殊詐欺被害相談ホットライン」等の取組を行ってきたところであるが、今後も関係団体と協力し、被害の予防と早期救済にさらに尽力していく所存である。

2023年(令和5年)4月21日
          大阪弁護士会      
          会長 三 木 秀 夫

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