入管法改定法案の成立に強く抗議する会長声明

入管法改定法案の成立に強く抗議する会長声明

 本日、出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という)等の一部を改正する法律案(以下「入管法改定法案」という)が参議院本会議で採決され、成立した。当会は、入管法改定法案の成立に対して強く抗議する。
 このたび成立した入管法改定法案は、2021年(令和3年)の通常国会で世論の強い反対を受けて廃案となった旧政府提出法案(以下「旧政府案」という)と骨格がほぼ同じである。入管法改定法案の成立により、条約や憲法で保障されている権利を侵害される犠牲者が後を絶たなくなることが強く危惧される。
 当会は、旧政府案の立法化が進められたときから一貫してその問題点を指摘してきた。政府によってこのたびの入管法改定法案が国会に提出される方針が明らかになった際にも、強い反対の意思を表明するとともに、国際人権に根ざした真の制度改革と入管体制の構築を求める会長声明を出した(2023年(令和5年)2月1日付会長声明)。
 入管法改定法案については、日本弁護士連合会や多くの各地の弁護士会からも反対の会長声明が発出されていた。他の人権擁護団体や外国人の支援団体、報道機関、研究者等からも問題点の指摘と反対の意見表明が相次いでいた。国連人権理事会の特別報告者は、日本政府に送った書簡において、入管法改定法案は国際的な人権基準を下回っているとして、国際人権法の下での義務に沿うものにするために、徹底した内容の見直しを求めていた。
 このような国内外からの批判を無視し、入管法改定法案が成立したことは、誠に遺憾である。
 当会は、入管法が国際的な人権基準を満たしたものとなるよう、引き続き、その抜本的な改革を求めるとともに、改定された入管法のもとで、本来難民として認定されるべき者が迫害を受けるおそれのある国へ送還されたりすることのないよう、外国人の人権保障に向けた取組に全力を尽くす所存である。

2023年(令和5年)6月9日
          大阪弁護士会      
          会長 三 木 秀 夫

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