大阪府保険医協会と当会との共同アピール

大阪府保険医協会と当会との共同アピール

共同アピール

一、マイナンバーカードの取得は任意であるにもかかわらず、現行の健康保険証を廃止しマイナンバーカードと統合することにより、マイナンバーカードの取得を事実上強制することに反対する。
一、国民が安心して必要かつ十分な医療を受ける受療権を侵害し、プライバシーの権利をも侵害するおそれがある「マイナ保険証」への一本化に反対する。
一、国民のいのちと健康を守る立場から、本年12月2日以降も現行の健康保険証の存続を強く求める。


 政府は、昨年12月22日、本年12月2日に現行の健康保険証を廃止することを閣議決定し、それに伴い厚労省は健康保険法等の省令から「被保険者証を被保険者に交付しなければならない」とする規定を削除するための「改正案」を出し、本年6月22日までパブリックコメントを募集し、その数は16日間で5万件を超え、多くの健康保険証存続を望む意見が寄せられている。
 政府は本年5月から7月を「利用促進集中取組月間」に位置付けたが、5月末の「マイナ保険証」の利用率は未だに7.73%と低迷している。その背景には、マイナ保険証によりオンライン資格確認を実施する場合、患者の手間が増加するだけでなく、資格確認端末において資格情報が「無効」と出るなどして正しい情報が得られない不具合が発生していることや、カードリーダーの操作への手助けなどから生じる医療機関の負担の問題が一向に解決されていないことが挙げられる。また、カードリーダーなどの機器に不具合が生じたり、災害による停電や通信の切断等が生じると資格確認ができなくなり、医療機関の業務に重大な支障が生じるおそれがある。このように、政府の方針は国民の利便性を向上させるものとはいえない。国民皆保険制度を守るためには、現行の健康保険証を存続させることが何より重要である。
 健康保険証が廃止されてマイナ保険証に一本化されてしまうと、医療機関等を受診するためにはマイナンバーカードを取得せざるを得ないことになり、マイナンバー法上任意であるはずのマイナンバーカードの取得が事実上義務づけられることになる。また、医療機関等を受診する際にマイナンバーカードを常に持参することになれば、紛失・盗難のリスクが増大し、その場合、カードに記載された氏名・住所・生年月日・性別等の個人情報がマイナンバーとともに漏えいすることになり、マイナポータルからアクセスできるすべての個人情報が不正取得される危険も生じる。マイナンバーカード内にあるICチップの電子証明書の発行番号には様々な個人情報が紐付けられることから、マイナンバーカードを健康保険証として利用することを事実上強制されることで、国民はプライバシー侵害のリスクを抱えることになる。
 以上のとおりであるから、我々は、上記共同アピールを表明する。

2024年(令和6年)7月13日

 大阪府保険医協会 理事長 宇都宮 健 弘

 大阪弁護士会   会長  大 砂 裕 幸

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