死刑執行に抗議する会長声明

死刑執行に抗議する会長声明

 昨日、大阪拘置所において、1名の死刑が執行された。谷垣禎一法務大臣が就任してから今回も含めて既に5回(合計9名)もの死刑執行が行われたことになる。当会は、改めて死刑執行に強く抗議する。
 また、今回執行された事案については、2012年7月12日に最高裁において上告が棄却され、死刑判決が確定してからわずか2年にも満たないものであり、2013年12月に大阪拘置所で執行された件と同様に、これまでの例に比べ執行までの期間が明らかに短くなってきている。
 さらに、2014年3月27日には、袴田巖氏の第二次再審請求事件について、静岡地裁が再審の開始と、死刑及び拘置の執行を停止する決定をした。かかる袴田事件に端を発し、現在では、捜査の在り方や死刑制度の問題点についての社会的な関心が高まっている時期でもあり、あえてこの時期に死刑を執行したことについて強く抗議する。
 当会は、会内に死刑廃止検討プロジェクトチームを設置し、死刑のない社会を目指してどのような活動をしていくべきか議論を重ねるとともに、死刑の執行方法に関するDVDの作成、シンポジウムの開催などを通じて、市民とともに死刑制度の問題点を検討し、死刑制度について全社会的議論を呼びかけてきた。また、かねてより再三にわたり、政府に対し、死刑執行の停止、死刑制度について全社会的議論を呼びかけてきた。しかし、この間、死刑囚の処遇について一部公開されたものの、なお、十分な情報公開がなされたとは言えず、死刑制度について全社会的議論を行う場すら設けられていない。
 死刑廃止は国際的な趨勢であり、世界で死刑を廃止しまたは停止している国は140カ国となっており、全世界の3分の2以上の国において死刑の執行はなされていない。2013年5月31日には、国連拷問禁止委員会の総括所見が発表され、わが国は死刑制度を廃止する可能性についても考慮するよう勧告を受けている。
 当会は、今回の死刑執行に対し強く抗議するとともに、改めて死刑執行を停止し、死刑に関する情報を広く国民に公開することを要請するとともに、死刑制度についての全社会的議論を踏まえたうえで、その抜本的な検討および見直しを行うことを求めるものである。

2014年(平成26年)6月27日
大阪弁護士会
会長 石 田 法 子

ページトップへ
ページトップへ