「金融商品取引法施行令の一部を改正する政令(案)」等(商品関連市場デリバティブ取引に係る行為規制関係)に賛成する会長声明

「金融商品取引法施行令の一部を改正する政令(案)」等(商品関連市場デリバティブ取引に係る行為規制関係)に賛成する会長声明

 金融庁は、2014年5月30日付けで「金融商品取引法施行令の一部を改正する政令(案)」等(商品関連市場デリバティブ取引に係る行為規制関係)を公表した。
 当会は、同案が、商品関連市場デリバティブ取引に係る金融商品取引契約の締結の勧誘を、勧誘受諾意思の確認義務及び再勧誘禁止の対象とした上で、商品関連市場デリバティブ取引に関し、勧誘受諾意思の確認方法として、一定の取引関係にない個人顧客に対しては訪問・電話によることを禁止する点を高く評価し、これに賛成する。
 商品先物取引における不招請勧誘の規制については、長年にわたって苦情・トラブルが絶えず、深刻な被害が発生していたことから、2009年の商品先物取引法改正(2011年施行)において、同法第214条第9号に禁止規定が設けられた。これにより商品先物取引に関する苦情相談は大幅に減少したものの、金地金取引やスマートCX取引(損失限定取引)を端緒に、商品先物取引を勧誘し、トラブルとなる事例が現在も報告されている。したがって、投機性の高い商品先物取引に関して、不招請勧誘禁止規制を維持する必要性は、現在も変わらないというべきである。
 この点、当会は、2013年11月12日付「商品先物取引の不招請勧誘禁止規制撤廃に反対する会長声明」を発表し、総合取引所構想実現のための改正金融商品取引法施行令には商品先物取引に関する市場デリバティブを加えるよう強く求めたところである。
 これに対し、先物取引業界には、市場活性化のため不招請勧誘禁止規制を見直すべきであるとの意見が根強く、2014年4月には、農林水産省及び経済産業省は、先物取引業界の意向を汲んで、実質上、70歳未満の個人顧客に対して不招請勧誘を大幅解禁する内容の商品先物取引法施行規則の改正案を発表した。
 しかしながら、悪質な業者が淘汰され、新規の商品が開発されたFX取引のように、不招請勧誘禁止規制導入の結果、市場が活性化された例もあり、無差別の訪問・電話勧誘という旧態依然としたビジネスモデルによって、市場を活性化させようとするのは、本末転倒である。
 したがって、農林水産省及び経済産業省商品先物取引法施行規則改正案は到底受け入れられるものではなく、当会も同年4月21日付「『商品先物取引法施行規則』及び『商品先物取引業者等の監督の基本的な指針』改正案に対する意見書」にて反対意見を表明しているところである。
 今回の金融庁改正案は、個人顧客の適用除外要件(当該金融商品取引業者等に有価証券取引等の口座を有することなど)に若干不十分な点はあるものの、実質的に不招請勧誘の禁止と同一の効果を期待することができるものであり、当会の上記会長声明や上記意見書と軌を一にするものである。
 よって、当会は金融庁の「金融商品取引法施行令の一部を改正する政令(案)」等(商品関連市場デリバティブ取引に係る行為規制関係)に賛成する。

2014年(平成26年)7月8日
大阪弁護士会
会長 石 田 法 子

ページトップへ
ページトップへ