「内閣府本府組織令の一部を改正する政令(案)」に対する意見書
・「内閣府本府組織令の一部を改正する政令(案)」に対する意見書
2014年(平成26年)8月22日
内閣官房特定秘密保護法施行準備室 御 中
大阪弁護士会
会 長 石 田 法 子
会 長 石 田 法 子
「内閣府本府組織令の一部を改正する政令(案)」に対する意見書
(意見)
特定秘密の保護に関する法律の附則9条による「行政機関の長による特定秘密の指定及びその解除に関する基準等が真に安全保障に資するものであるかどうかを独立した公正な立場において検証し、及び監察することのできる新たな機関」として、政府から完全に独立した第三者機関を新たに設置するべきであり、標記政令(案)にある「内閣府独立公文書管理監」の設置には反対である。
(理由)
特定秘密の保護に関する法律の附則9条には、「行政機関の長による特定秘密の指定及びその解除に関する基準等が真に安全保障に資するものであるかどうかを独立した公正な立場において検証し、及び監察することのできる新たな機関」の設置が規定されている。
政府は、この新たな機関として、特定秘密の指定及びその解除並びに特定行政文書ファイル等の管理が、特定秘密保護法及び施行令の規定並びに運用基準に従っているかを検証、監察するために、内閣府本部組織令を改正し、内閣府の下に「内閣府独立公文書管理監」を置こうとしている。また、「内閣府には情報保全監察室」を設置し、その室員の中から前記管理監を指定するとしている。
しかしながら、そもそも、「内閣府独立公文書管理監」自体、内閣府内におかれることから、「独立」とは名ばかりで政府から独立した機関ではない。
しかも、その選任母体となる情報保全監察室の構成メンバーの選任基準が明確ではなく、防衛省、外務省、警察庁等の審議官レベルの人員で構成するともいわれており、行政機関の職員がその任に当たるのであれば、その出身行政機関等に遠慮して、充分な検証や監察を行えなくなることは想像に難くない。
以上のような機関には、およそ検証や監察の独立性や公正性は期待でない。
また、行政機関の長に対し特定秘密である情報を含む資料の提出又は説明を求め、さらには実地調査を行うことができるとしても、各行政機関の長はこれら求めに応じるべき義務はなく、監視機関として実効性のないものである。
前記附則9条による「独立した公正な立場において検証し、及び監察することのできる新たな機関」とするためには、まず、政府からは全く独立した機関でなければならず、その構成員の選任基準が、学者、弁護士その他外部の有識者を入れる他、行政機関から選ばれるメンバーについてもノーリターンルールを導入して、独立性と公正性を可能な限り確保すべきである。
そして、その機関には、実効性ある監視機関としての十分な調査権限が確保されるべきであり、行政機関には調査に応じる義務が規定されるべきである。
また、その機関には、十分な検証と監察の権限行使のために、全ての情報に対するアクセス権限を認めるべきである。このことは、知る権利と安全保障に関する国際基準からも当然である(ツワネ原則33)。
以上