「特定秘密の保護に関する法律施行令(案)」に対する意見書

「特定秘密の保護に関する法律施行令(案)」に対する意見書

2014年(平成26年)8月22日

内閣官房特定秘密保護法施行準備室 御 中

大阪弁護士会
会 長 石 田 法 子


「特定秘密の保護に関する法律施行令(案)」に対する意見書

 
1 施行令案と秘密保護法4条4項7号について
(意見)
今回の施行令案には、秘密保護法4条4項7号の政令で定める情報が規定されていないが、今後も規定すべきでない。
(理由)
秘密保護法4条4項7号では、同項1号乃至6号以外の情報でも、政令で定めることができるとしている。
しかし、同項では1号から6号で、60年超の秘密指定できる情報を限定列挙しているにもかかわらず、政令でも定めることができるとすれば、法が限定列挙した意義を没却し、法の潜脱ともなりかねない。
したがって、政令で60年超の例外を定めることは原則的に禁止されるべきであるが、今回の施行令案では同項7号の政令で定める情報は何も規定されておらず、今後も規定すべきではない。

2 施行令第12条1項10号
(意見)
  当該条項を削除するか、若しくは、焼却等の廃棄措置については法律自体に規定されるべきである。
(理由)
特定秘密文章の焼却等の廃棄措置については、当該特定秘密の内容が公開される可能性を絶対的に失わせるものであり、安易に行われるべきではない。
 また、漏えいの恐れがある緊急の事態が生じたとしても、当該特定秘密を移転させたり、他の場所で保管したりするなどの方法によって、漏えいの恐れを払拭するべきである。
 更に、漏えいのおそれがある緊急の事態が生じて廃棄措置をとる場合には、必要最小限度の廃棄措置をとるべきことを明確にすべきである。
 そもそも、焼却等の廃棄処分以外の方法では漏えいが生じるとの緊急事態が生じた場合について、どうするべきかについては法律自体に規定されるべきであり、施行令で取り決める事柄ではない。また、運用基準にも同趣旨の規定が存在するが、廃棄処分等の重要な事柄については、施行令や運用基準のみで規定するのではなく、国会の議論を通じて法律の中において規定するべきである。
 よって、施行令第12条1項10号は削除するか、若しくは、当該規定については法律自体に規定されるべきである。
3 施行令第20条
(意見)
 「行政機関の長又は警察本部長は、法第12条1項又は第15条第1項の規定による適性評価の実施に当たっては、評価対象者に法第12条第2項各号に掲げる事項に関する質問票を交付し、これらの事項についての記載を求めるほか、必要がある場合には、運用基準で定める他の方法により、同項(法第15条第2項において準用する場合を含む。)の調査を行うものとする」と改めるべきである。
(理由)
 適性評価にあたっては、評価対象者に対するプライバシー保護の必要から、調査の実施方法は、評価対象者本人に対する質問が原則とされるべきであり、その他の方法、すなわち関係者への質問、公務所、その他公私の団体への照会は、補完的な実施方法として位置づけられなければならない。そこで、施行令においては、必要がある場合にのみ、関係者への質問等、公務所その他公私の団体への照会が許されることを明らかにしておく必要がある。
以上

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