大阪弁護士会の活動

立会いなくして取調べなし~取調べへの弁護人立会い実現を~

1 え!?取調べって自分の味方はいないの??

2019年6月の刑事訴訟法改正によって、“一部の”事件は取調べが録音・録画されるようになりました。
しかし、取調べが行われているまさにその時、取調室には、捜査官とあなたしかいないことがほとんどです。捜査官はあなたを訴追するための証拠を集めることが仕事です。
取調室の中にあなたの利益を守ってくれる存在はいません。

「本当に黙っていても良いのだろうか、後で不利にならない?」
「今聞かれたことは答えても良い質問なんだろうか、黙っておいた方が良いの?」
「調書に書いてあることが自分の言いたいことと違う……このままサインして良いの?」
「これから自分はどうなるんだろう?」

取調べを受けると、様々な疑問があるはずです。黙っていても良いのか、何を話せばいいのか、話せばどうなるのか、分からないまま、一人で取調べに対応しなければなりません。これが日本の取調べの現状です。
そんなとき、あなたに適切な助言ができるのは弁護人しかいません。
私たちは、弁護人立会いのもと、取調べが行われることを目指しています。

2 私たちが目指す取調べへの立会い

違法・不当な取調べを防止し、真意に添わない供述調書の作成を防ぐためにも、弁護人が取調室内で取調べに立会う必要があると考えています。
そのため、弁護人が取調室の中に入り、被疑者と同席するという方法で、捜査機関による取調べに対応することを目指しています。

3 諸外国では立会いの権利が認められています

EU諸国では、警察取調べに先立って弁護人との接見の機会が保障され、取調べへの立会権が認められている国があります。また、アジアにおいても韓国・台湾では、弁護人を取調べに立会わせる権利を認めています。弁護人立会権は、諸外国でも認められた権利です。

4 弁護人は取調べに立会えるの?

では、弁護人は取調室に入ることはできないのでしょうか。
私たちは、以下の法的根拠から、現行法上も取調べに立会うことができると考えています。

  1. 弁護人に依頼する権利を定めた憲法34条、37条3項
  2. 黙秘権(自己負罪拒否特権)について定めた38条1項
  3. 刑事手続きについて適正性を要求する31条
  4. 違法・不当に獲得された自白に証拠能力を認めないという法則(自白法則)を定めた38条2項
  5. 公平な裁判を受ける権利を定めた37条1項

5 現在の取り組み

取調室内での立会いは認められるべきであると考えていますが、現状は、取調室内に弁護人が入ることは捜査機関に拒否されることがほとんどです。
私たちは、捜査機関が弁護人の取調室内での立会いを不当に拒否しても、弁護人として適切な助言を受けられるような方法を考えています。例えば、弁護人が警察署や検察庁に同行し、取調室に近い場所で待機することで、すぐに弁護人に相談できるようにするという方法をひとつの対応策として提案しています。

そして、このような取調べへの弁護人の立会いについて、わかりやすく解説した漫画「取調べの立会いってなんだ?」を作成しました。
是非ご覧ください。

漫画「取調べの立会いってなんだ?」
(※画像をクリックすると漫画がご覧いただけます。)
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