大阪弁護士会について

令和3年度 役員就任のご挨拶

会長 田中 宏
会長 田中 宏
副会長 滝口 広子
副会長 滝口 広子
副会長 宮本 圭子
副会長 宮本 圭子
副会長 久保井  聡明
副会長 久保井 聡明
副会長 松岡 伸晃
副会長 松岡 伸晃
副会長 村瀬 謙一
副会長 村瀬 謙一
副会長 安部  将規
副会長 安部 将規
副会長 中嶋  勝規
副会長 中嶋 勝規

私たち8名は、この度2021年度(令和3年度)の大阪弁護士会の会長及び副会長として、4月から1年間、大阪弁護士会の運営を担っていくことになりました。そこで、私たちの抱負の一端を述べ、皆様への私たちのご挨拶とさせていただきます。

「誰ひとり取り残さない あらゆるひとに弁護士の力を」

私たち執行部は前年度執行部のこのスローガンを引継ぎ、実践することといたしました。これは、新型コロナウイルス感染症の蔓延により社会生活や経済活動が一変し、これらに伴い様々な法的課題や人権問題が生じており、特に非正規労働者・外国人労働者・女性・高齢者・障がい者・DVや虐待の被害者など社会的に立場の弱い人々に、より深刻な影響が及んでいるという現状認識に基づくものです。弁護士は、基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする専門職であり、今こそ社会の隅々にまで法による救済、法による解決が行き渡るよう最大限の努力をしなければならないと考えております。

どのような分野に重点的に取組んでいきたいか

「誰ひとり取り残さない」ために、私たちは次の点に重点的に取組んでいきたいと考えています。

1 コロナ禍における社会的弱者への支援に向けた取組み

コロナ禍における事業者・労働者向けの電話相談の継続実施や、Web相談の導入、自然災害債務整理ガイドラインコロナ特則の登録支援専門家の確保などに努めます。

2 刑事司法の改善-人質司法からの脱却

取調べ全過程の録音・録画の義務化の範囲拡大や取調べへの弁護人の立会を求める取組み、準抗告強化運動などを継続し、また、それらの活動を支援することで、弁護人の活動の強化をはかり、人質司法からの脱却を目指していきます。
 コロナ禍のもとで、被疑者・被告人の権利行使の制限や身体拘束の長期化が生じないよう、また、刑事収容施設における感染防止策を徹底するよう、求めていきます。

3 少年法改正へ適切に対応

令和3年2月19日、通常国会に提出された少年法改正法案の内容は、18歳以上の新成人についても少年法の適用対象とされている点は評価できるものの、非行のある少年の健全な成長発達と再犯防止に果たしている現行少年法の役割から見ると、問題がないとは言い切れない点も多々あります。この内容で法改正がなされた場合にも、現場で適切な運用がなされるように、対応できる体制を整えていきます。

4 成年年齢引下げへの適切な対応

令和4年4月から、成年年齢が20歳から18歳に引下げられます。新成人となる高校生、大学生を対象に法教育としての消費者教育を拡充するなどの啓発活動にあたるとともに、新成人を対象とした法律相談体制の整備などの準備を行います。

5 憲法と人権

個人の尊重、立憲主義、恒久平和という日本国憲法の原則を堅持します。コロナ禍における感染者・医療従事者等に対する差別誹謗中傷やワクチン接種に伴う差別誹謗中傷が生じないよう、啓発活動等に取組みます。国民投票法改正案については、民意が適切に反映されるよう、公正かつ公平な制度となることが必要であり、状況に応じて必要な取組みを行います。

6 民事裁判IT化への適切な対応

市民の裁判を受ける権利を損ねないよう慎重な配慮の下、民事裁判のIT化は積極的に推進すべきと考えます。

7 男女共同参画・ダイバーシティ(多様性)の推進

当会の第3次男女共同参画基本計画に基づき、法曹を目指す女性を増やす、当会の会務運営に携わる女性会員の割合を向上させる、あるいは理事者の中の女性割合を当会の女性会員の割合と同程度以上となる状態を維持する等のための方策を考え、実行します。
 LGBTや日本語以外の言語を母国語とする人々などが感じる社会的困難さや被る不利益を理解し、適切に相談対応できるよう、会員向けの研修を行います。

8 国際化への対応

海外弁護士会との交流の促進やエクスターンシップの制度化、研修などにより、海外に関心を持ち国際渉外事案を取り扱うことができる会員の育成に努めます。
 外国語による法律相談に対応できる体制の構築に努め、また領事館、国際交流協会や自治体が設置するワンストップセンターとの連携を強化し、日本に在留する外国人への法的サービスの充実促進に努めます。

9 被害者救済の役割の強化

条例設置自治体や大阪地検、大阪府警等との協定に基づく弁護士による支援体制の構築や、被害者救済活動の取組みをさらに充実させるために、広報を充実させるとともに、関係委員会間の連携強化を図り、弁護士会が市民にとって利用しやすい被害者救済の受皿となるように継続的に取組みます。

どのように体制整備を進めるか

「あらゆるひとに弁護士の力を」届けるために、私たちは次のように体制を整備していきたいと考えています。

1 アクセス向上のための環境整備
(1)IT技術の活用とDX(Digital Transformation)の推進

総合法律相談センターは、弁護士へのアクセスを改善し、市民に適切に法律相談を届ける役割を担っています。総合法律相談センターにおいて、法律相談の申込み、法律相談の実施、法律相談料の支払いのすべてをWeb上で完結できる完全Web法律相談の実現に向けて検討を進めます。


(2)行政等外部との連携強化

行政をはじめ外部の団体等との連携を、アウトリーチや司法ソーシャルワークの拡大などにより一層推進します。


(3)総合法律相談センターの機能拡充

EAP(Employee Assistance Program、従業員支援プログラム)の一環として、従業員に対する福利厚生のために、企業が弁護士会と契約して委託料を出捐し、当該企業の従業員が無料で総合法律相談センターでの法律相談を受けられる制度の構築を検討します。

2 情報発信と専門性の向上
(1)情報発信

弁護士に容易にアクセスできるようにするためには弁護士情報の発信が重要です。効果的、効率的な情報発信手段を選択するほか、現在運用している分野別登録弁護士制度の登録弁護士の増加と新たな分野の創設に向けての検討を行います。


(2)専門性の向上

専門知識の習得は、弁護士の研鑽のために不可欠なものです。会として得られた法律実務に関する知識やノウハウ等を会員全体に対して研修、会報、会員専用サイトなどを通じて提供し、会員の能力向上や業務の拡大に、より一層貢献できるよう工夫を行います。

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