大阪弁護士会の活動

人権擁護委員会

刑事被拘禁者が裁判所から民事訴訟期日に出廷するよう求められたことを理由とする出廷許可申請が認められず訴訟終了となった事例

2015年(平成27年)11月6日

 受刑者である申立人が、損害賠償請求訴訟を提起し、受訴裁判所より期日指定を受けたものの、刑務所が申立人の出廷申請をいずれも不許可としたため、訴訟が取下げ擬制により終了した。
 裁判を受ける権利が、あらゆる権利を実現するために必要不可欠な権利であり、刑事被拘禁者につき出廷が認められなければ裁判を受ける権利が実質的に否定されたといえることからすれば、刑務所の対応は人権侵害のおそれがある。

 したがって、刑事被拘禁者が、裁判所から出廷を求められたことを理由に出廷許可を申し出た場合、原則として出廷を許可すべきであり、出廷を許可することによって刑務所内の規律及び秩序の維持のため放置することができない程度の障害が生ずる具体的蓋然性があると十分な根拠に基づいて認められ、そのため出廷を制限することが必要かつ合理的であると認められる場合に限って、不許可とするよう勧告した。

 また、このような運用を行うための具体的処理規程を策定し、仮に出廷を不許可とする場合には、刑事被拘禁者のその具体的理由を告知するなどして、刑事被拘禁者の裁判を受ける権利、自ら出廷し訴訟活動を行い、公正な審理を受ける権利の実現に十分に努めるよう勧告した。

刑事被拘禁者が裁判所から民事訴訟期日に出廷するよう求められたことを理由とする出廷許可申請が認められず訴訟終了となった事例

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