大阪弁護士会の活動

人権擁護委員会

警察署の留置施設において、全ての被収容者に適用される明確な最低限度の給水基準を設けるとともに、各被収容者について、給水を行った各時刻・各給水量を記録することや、一定時刻に一定量の給水を行うことなど、上記給水量を確保するための方策を検討すること及び警察署の留置施設においては、被収容者からの給水の求めには原則として応じるものとし、応じなかった場合は、被収容者が給水を要望した時刻及び給水を行わなかった理由を記録することを要望した事例。

2021年(令和3年)8月20日

【執行の概要】

1 水を得る権利は、すべての人々の基本的人権であり、それは、収容施設における被収容者に対しても、適切な給水を行うというかたちで実現されるべきである。生存そのものに必要不可欠であり個人の尊厳に深くかかわるものである点で、生命、自由及び幸福追求に対する権利(日本国憲法13条)、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利である生存権(日本国憲法25条)に根拠を求めることができる。

2 食事の際に食物から摂取されるものとは別に、飲むことで摂取すべき水分量は、成人において1日約1200㎖以上という一般的知見がある。 本件で認定した事実によれば、2018年(平成30年)7月16日及び7月17日、申立人に供給された水分量は、食物から摂取されるもの及び申立人がおかわりしたお茶を除き、コップ(容量300㎖)4杯分又は3杯分である。この300㎖という容量は、当該コップ満杯の容量であるところ、300㎖のコップに注がれたお茶の量は、多くても200㎖程の量しかない。そうなると、申立人に供給された水分量は、同年7月16日が200㎖×4=800㎖、同年7月17日が200㎖×3=600㎖となり、いずれも前記1200㎖にはほど遠い。

3 今後も、施設から供給される水分量が1日約1200㎖を下回る状況のもとで、被収容者が追加の給水を要望することがなければ、被収容者の生命・身体に重大な被害を発生させる恐れがある。また、前述した水を得る権利の重要性に鑑みれば、収容施設においては、やむを得ない理由がない限り、被収容者の給水の要望を拒否すべきではない。

4 したがって、大阪府警察管内の警察署において、上記のとおりの対応を行うことが相当であると考え、要望した。

警察署の留置施設において、全ての被収容者に適用される明確な最低限度の給水基準を設けるとともに、各被収容者について、給水を行った各時刻・各給水量を記録することや、一定時刻に一定量の給水を行うことなど、上記給水量を確保するための方策を検討すること及び警察署の留置施設においては、被収容者からの給水の求めには原則として応じるものとし、応じなかった場合は、被収容者が給水を要望した時刻及び給水を行わなかった理由を記録することを要望した事例。

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