大阪弁護士会の活動

人権擁護委員会

大阪市交通局における「職員の身だしなみ基準」で規定されているひげに関連する事例

2016年(平成28年)1月15日

 大阪市交通局の「運輸部の身だしなみ基準(男性)」では「髭は伸ばさず綺麗に剃ること。(整えられた髭も不可)」と規定され、人事考課においては、同基準の遵守状況等を含めて評価し、その結果は、俸給や勤勉手当といった給与処遇に反映するとのことである。
 確かに、ひげを生やすことは本来的に個人の自由に属し、特段の制限を受けるものではないが、労働契約に基づきその業務に従事する場合においては、その事業内容によっては、一定の制約が許される場合もあり得る。もっとも、それは、制約を正当化するだけの必要性があり、また、その制約に伴う不利益も合理的な範囲にとどまることが必要である。
 本件では、生やしているひげが整えられているか否かに関係なく、人事考課において低い評価を受ける結果、給与処遇において不利益を受け、さらには分限処分・免職となるおそれがあり、制約程度としては合理的な範囲を超えているといわざるを得ない。
 したがって、大阪市交通局に対し、「職員の身だしなみ基準」における「髭は伸ばさず綺麗に剃ること。(整えられた髭も不可)」との規定を廃止するとともに、人事考課制度において、ひげをはやしていることをもって、マイナス評価の判断要素とする取扱いを止めるよう勧告した。

大阪市交通局における「職員の身だしなみ基準」で規定されているひげに関連する事例

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