大阪弁護士会の活動

人権擁護委員会

いわゆる日の丸・君が代問題に関する事例(その2)

2016年(平成28年)3月18日

 大阪府立芦間高等学校の教員である申立人らが、有給休暇を取得した上、同校校門前において、国歌の起立斉唱を強制されることの不当性を訴える旨のビラまきを行ったところ、学校長は、大阪府教育委員会(以下「府教委」という。)と相談の上、申立人らに対し、国や大阪府、府教委の方針と異なる内容のビラをまくことを控えるよう口頭で指導した。
 学校長は申立人らに対し、卒業式当日に式場内業務を希望するのであれば国歌斉唱時に起立斉唱するよう指導したうえ、国歌斉唱に当たっては、式場内に参列し、国旗に向かって起立して斉唱することを命ずる職務命令を出した。府教委は、国歌斉唱等に起立しなかった申立人A氏を懲戒処分とした。
 学校長は、卒業生らに対し、卒業式には国旗を掲揚し、国歌斉唱を行うよう指導することが学習指導要領で決められていると説明し、「教頭先生が、『国家斉唱』と言いますので、音楽が流れたら、起立したままで国家を斉唱します。分かりましたか?」と呼びかけるなどした。
 上記事案について、教職員、生徒、保護者らの思想良心の自由を尊重し、「君が代」の起立斉唱を教職員及び生徒に強制してその思想良心の自由を侵害しないこと、及び、教職員が勤務時間外かつ学校外において行うビラの配布につき、当該ビラの内容が国、大阪府及び府教委の考えと異なる内容になっていることを理由に制限しないことを勧告した。

いわゆる日の丸・君が代問題に関する事例(その2)

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