大阪弁護士会の活動

人権擁護委員会

拘置所内で開催された行政手続きに関する告知・聴聞手続について

2017年(平成29年)12月12日

 大阪拘置所に収容されている死刑確定囚が、東京矯正管区及び名古屋矯正管区(以下、「各矯正管区」という。)に対し、「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」に基づく行政文書開示請求を行った。各矯正管区からは、一部不開示とする決定がなされたが、本来開示してはならないとされる情報を開示したり、不開示決定をしたのに申立人に対する通知には不開示部分を特定して記載していなかったりした。そのため、各矯正管区は、開示された情報については改めて不開示とし、既に不開示とはなっているが特定していなかった情報についてはこれを特定して不開示とする決定を改めて行うことになった。これは申立人にとっては不利益変更となるため、告知・聴聞手続きを行うことになった。
 当該告知・聴聞手続の開催につき、各矯正管区は、申立人が死刑確定囚であることのみをもって開催場所を大阪拘置所とし、手続きの手順や時間等をすべて大阪拘置所に任せたきりとした。
 そのため、大阪拘置所は、当該告知・聴聞手続きを、死刑確定囚の通常の一般面会として扱い、申立人が補佐人を依頼するための文書の発信制限を行ったり、告知・聴聞手続の場所をアクリル板で仕切られた面会室とし、さらに30分の時間制限を設けるなどしたため、申立人は補佐人と十分な事前の打ち合わせができず、告知・聴聞手続き当日も、不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧も補佐人とアクリル板越しで確認せざるを得ず、時間も30分で一方的に打ち切られた。
 告知・聴聞手続は、行政手続きといえども適正手続きが履践されるべきであり、申立人の不利益処分に対する十分な反論の機会を奪ったということができ、今後は、告知・聴聞手続主催者の責任において、手続きの実施場所、実施方法につき、運用面での格別の配慮・工夫を行うよう勧告した。

拘置所内で開催された行政手続きに関する告知・聴聞手続について

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