大阪弁護士会の活動

人権擁護委員会

警察官が、任意同行中の被疑者を長時間、警察署内に留め置いて監視を続けたことに対して、任意同行中の被疑者が退出の意思を表明した場合には、直ちに被疑者を退出させるよう勧告した事例

2018年(平成30年)11月8日

本件は、大阪府警察南警察署の警察官が、申立人を被疑者として、同警察署へ任意同行し、取調べを実施するなどして約8時間にわたって留め置いた後に、申立人を通常逮捕したものである。
その間、警察官は、申立人が「もう帰るぞ」と言って出て行こうとした際には、ドアの前に立ち塞がって制止し、申立人がトイレに行った際には同行するなどして、申立人の動静を常に監視していた。
この留め置きは、事実上、逮捕と同視できる状況に申立人を置いたものといえ、任意捜査として許される限度を超えた違法なものであって、刑事手続きにおける人権を保障するために、捜査機関による不当な捜査を公正中立な裁判官の事前審査によって抑制することを旨とする令状主義に違反する。
従って、今後は、かかる任意捜査の限界を超えた違法な取り調べ・身柄拘束によって、被疑者の人権を侵害することのないよう、任意同行中の被疑者が退出の意思を表明した場合には、直ちに被疑者を退出させることを勧告した。

警察官が、任意同行中の被疑者を長時間、警察署内に留め置いて監視を続けたことに対して、任意同行中の被疑者が退出の意思を表明した場合には、直ちに被疑者を退出させるよう勧告した事例

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