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マンガで労働法! 緑橋昂輝&白田弁護士の労働事件簿
労働法マンガ第5章 育休取得にマタハラ・パタハラ!?
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育児休業を取得して、子どもとしっかり関わることができたことは幸せでした。
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子育ては、新たな気づきの日々でした。
あふ(凜と藍が夜泣きするから眠い)・・・・
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女性が結婚、出産したことを理由に退職させられた時代もありました。
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そういえば、お義母さんが裁判の話をしていました。
どんな裁判があったのですか。
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昭和30年代に、女性の、結婚退職制や30歳で定年になることが違法だと争う裁判が起こされ、昭和40年代に、いずれも違法とする裁判が確定しました。※①・②
※①住友セメント結婚退職制事件 東京地裁昭和41年12月20日判決・判例時報467号26頁
※②東急機関工業若年定年制事件 東京地裁昭和44年7月1日決定・労働判例82号9頁
最後に、男女別の定年(男性60歳、女性55歳)は憲法違反であるという判決が、最高裁で出ました。これを受けて、昭和60年に男女雇用機会均等法に男女別定年の禁止が盛り込まれ、定年の差別は法律上も解消されました。※③
※③日産自動車男女賃金差別事件 最高裁第三小法廷昭和56.3.24判決・労働判例360号23頁
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女性は30歳で辞めさせられてたんですか?信じられないな。
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昂輝さんたちが誕生した頃は、長年働き続けた女性が、男性との間で、昇進や賃金など処遇の格差を是正するよう求める裁判を起こしていた時期ですね。
こうした裁判で、使用者企業は、「女性は家庭責任があり、早く退職するから、低い処遇を前提に採用しても合理性があった」などと主張をしていました。
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原告の女性は、退職せずに長年働き続けた人だったんですよね。会社の言い分は、働き続けた女性の処遇が低いままであることの説明になっていないと思います。それに、女性が早く退職するなんて、決めつけられたくないです。
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そうですね。
しかし今も、意外に根強くこのような考えが残っていて、萱島係長や石橋部長の発言にも影響を与えています。
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でも、今は、「女性は家庭責任を負う」という一律の決め付けは否定されているのですね。
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はい、育児介護休業法は、男女が共に家庭責任を負うということが前提になっています。
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ILO(国際労働機関)の第156号・家族的責任を有する労働者条約という条約を日本が批准するにあたり、育児介護休業法が大幅に改正されて、ほぼ現在の形になりました。
このILO条約は、育児や介護などの家族に対する責任を負う男女の労働者が、伝統的な役割分業に基づいて機会・待遇において差別を受けないことを目指しています。
条約とセットになった勧告では、労働者が仕事だけでなく家族的責任を果たせるような環境整備、法的整備を行うよう求めています。
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なるほど~、男女の役割分業を前提とした会社のやり方がおかしいというだけではなく、労働者が家族的責任を果たせる環境にしていくことが求められる時代になったということですね~
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会社の上司や周りの人に否定されると、マタハラやパタハラに当たるのかどうか迷いが生じ、混乱してしまうかもしれません。
冷静になって弁護士などに相談し、大切な権利を、正しく行使できるとよいですね。
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