大阪弁護士会の活動

裁判員制度

裁判員制度Q&A

裁判員とは、何ですか?

刑事裁判手続に参加するため、事件ごとに裁判員候補者名簿から選任される方々です。2009(平成21)年5月までには、あなたも裁判員に選ばれる可能性があります。

裁判員は、どんなことをするのですか?

各事件で裁判員候補者名簿から選ばれるのは6人の方々ですが、この方々は、3人の裁判官とともに、刑事事件の審理(公判)に出席した上、事実の認定をし、被告人が有罪か無罪か、有罪だとしたらどんな刑にするべきかを、議論(評議)し、決定(評決)します。

裁判員制度は、「裁判員が裁判官と共に刑事手続に関与する」(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律1条)ためのものですから、この評議、評決においては、裁判員と裁判官の意見は、同じように扱われます。

裁判員や補充裁判員となった場合、評議の経過や、それぞれの裁判官及び裁判員の意見並びにその多少の数については漏らしてはならない、という守秘義務が課されることになります(同法70条1項)。

どのような人が裁判員に選任されるのですか?

選任されるのは、衆議院議員の選挙権を有する方で、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(2004(平成16)年5月28日法律第63号)に定める欠格事由(禁固以上の刑に処せられた者など)、就職禁止事由(国会議員、裁判官・検事・弁護士など)等がない方となります。

同法律には、辞退事由も定められていますが(同法16条)、重い疾病又は傷害で出頭が困難である場合や、その従事する事業における重要な用務であって自らがこれを処理しなければ当該事業に著しい損害が生じるおそれがある場合など、限定的に規定されています。

ですから、例えば、仕事が単に忙しいといった理由では、裁判員となることを辞退することは出来ないと考えておいた方が良いでしょう。

裁判員となっている間、仕事を休むことになるのでしょうが、その間の報酬はどうなるのでしょうか?

具体的な金額については、未定ですが、裁判員に対して、旅費、日当、宿泊料が支払われることが、法律上決められています(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律29条2項)。

また、当然のことですが、裁判員の職務を行うために休暇を取得したことなどを理由として、解雇その他不利益な取扱いをしてはならないということも、同法上(同法71条)明言されていますから、仕事を休んで解雇されるなどといった心配もありません。

刑事手続に関わることで、何かトラブルに巻き込まれたりしないでしょうか?

裁判員の名前や住所などは公にはされませんし(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律72条)、各裁判員や補充裁判員には、お話したような守秘義務が課されますから、評議の際、どの裁判員がどのような意見を述べたかは、明らかにされません。

また、裁判員の方々の安全を確保するために、裁判員やその親族に対し、威迫行為をした者を処罰する規定が設けられていますから(同法78条)、トラブルに巻き込まれる心配はないと言えるでしょう。

裁判員として参加する刑事手続では、どのような事件を扱うことになるのでしょうか?

裁判員の参加する刑事裁判に関する法律では、「死刑又は無期の懲役若しくは禁固に当たる罪に係る事件」と、裁判所法上、複数の裁判官による合議体で行うとされている事件のうち、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に係る事件については、裁判員が参加することを規定しています(同法2条)。

代表的な例をあげると、次のような場合があります。

  1. 人を殺した場合(殺人)
  2. 強盗が、人に怪我をさせ、あるいは、死亡させた場合(強盗致死傷)
  3. 人に怪我をさせ、その結果、死亡させた場合(傷害致死)
  4. ひどく酒に酔った状態で、自動車を運転して人をひき、死亡させた場合(危険運転致死)
  5. 人が住んでいる家に放火した場合(現住建造物等放火)
  6. 身代金を取る目的で、人を誘拐した場合(身代金目的誘拐)
  7. 子どもに食事を与えず、放置して、死亡させた場合(保護責任者遺棄致死)

裁判員裁判で扱われる事件数はどのくらいで、裁判員として裁判所から呼ばれる可能性はどれくらいなのでしょうか?

裁判員裁判の対象となる事件数は、2004(平成16)年では3,308件であり、地方裁判所で行われる通常第一審事件の4.1%を占めています。

日本全国の選挙権をもっている人の数が約1億223万人(2004(平成15)年衆議院選挙時)ですので、仮に1事件につき裁判員候補者(このうち、欠格事由等がない方が、最終的に裁判員となります)として50人から100人が呼ばれるとすると、1年間で約330人から660人に1人が裁判員候補者として呼ばれることになります。

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